私の地元では、今月の始めはまだまだ暑かったというのに、月末になると、なんだかひんやりと涼しくなってきましたが、みなさんのところでは、いかがですか? そんな10月の、秋の真ん中の“落ち穂拾い”をいたします。
そう、“落ち穂拾い”です。今までは「まとめ」と呼んできましたが、考えてみれば、今までの記事で、何かをまとめてきたことはなく、単にあっちこっちに書き散らかしてきたものを集めてきたり、ちょっとした備忘録やとりまとめだったりの記事だったので、今回から「まとめ」ではなく“落ち穂拾い”と呼ぶことにしました。以後よろしくお願いします。
では今月の落ち穂拾いです。
ワーグナーと軍歌
ワーグナーはお好きですか? 私は大好きです。ワーグナーはナチスドイツで戦意高揚のために効果的に用いられた作曲家であり、まあいわばナチスドイツにおける「軍歌」作家みたいな位置かな? ワーグナーの音楽を聞くと、戦争当時のことを思い出して、悲しみや怒りの感情に心を奪われてしまう人もいると聞きます。
でもね、それは音楽の使われ方の問題であって、音楽自体の罪ではない。もちろん、ワーグナーは自分の音楽を戦意高揚のために書いたわけでもないし。
21世紀の現代、世界中の歌劇場でワーグナーの楽劇が上演されていますが、誰も表立って楽劇と戦争をむすびつけて語ることは、もはや無いと思いますが、それでもやはり、ワーグナーの音楽を聴いて、心を悲しませている人がいることも事実。
日本の軍歌にも同じようなことが言えると思う。まあ、軍歌はワーグナーの曲と違って、最初から戦意高揚のために作られたという負い目はあるものの、あの時代にそれ以外の目的で音楽が作られるはずもないのだから、その点は多少は考慮に入れて上げないとフェアではないかなっと思います。
確かに軍歌の作られた背景、使われた状況などから、軍歌に悲しみや怒りを覚える人がいるのも理解します。でもこれだって、音楽の使われ方の問題であって、音楽自体の罪ではない。使われ方が気に入らなかったからと言って、その音楽自体まで悪い音楽であるかのように捕らえるのはいかがなもの、と思います。でも、一方で当事者だった人の気持ちも無視はできてないと思う。
それに…。
瀬戸口藤吉作曲の行進曲「軍艦」(一般的には「軍艦マーチ」って呼ばれるあの曲)は、素晴らしい名曲だと思うけれど、軍歌です。でも、軍歌と言って蔑むにはもったいないほどの名曲だと思います。でも、平成のオッサンオバサンには「軍艦マーチ」は軍歌というよりも、パチンコ屋のBGMのイメージの方が強くありませんか? 私も「軍艦」を聴いて『軍歌』と思う前に『パチンコ屋』って思うし、こんな名曲が、パチンコ屋のイメージソングになってしまった事に怒りを覚えるほどです。
これが、音楽の使われ方の問題です。使われ方と音楽そのものは、分けて考えましょうよ。
無意識にできていること
フルートの話です。
私、ビブラートできます。別にやり方を笛先生から教わったわけではないけれど、できます。先生にも時折「ビブラートがきれいですね」とお誉めの言葉をいただきます。
ビブラートのみならず、正しいやり方は教わってませんが、タンギングもスラーもスタッカートもできてます。おそらく、何となくやって、それらしくできているからOKというレベルなんだろうと思います。
確かにできていればOKなんですが、意識的にコントロールされているわけではないんだよね。正確に言うと、コントロールされているわけではないどころか、コントロールできません。正しいやり方を知らないまま、自己流でドンドン進んでいくと、いずれ大きな壁にぶち当たるような気がして怖いですね。
歌詞をつけてフルートを吹く
私はよくアルテの練習曲に歌詞を付けて吹いてます。歌詞と言っても、ほとんどが階名唱。あるいはデタラメ。階名唱じゃ歌詞じゃないじゃん、って言われそうですが、意味があるだけ、デタラメの歌詞よりも歌詞っぽいと思ってます。
なんかねえ…いわゆる「トゥ・トゥ・トゥ…」とタンギングのアレで、フルートを吹くのがたまらなくイヤなんです。階名唱であっても、歌詞をつけたい人なんですよ、私って人は。
歌詞のない音楽が、たまらなくイヤなんです。たとえヴォカリーズであっても、歌詞のようなものをつけたい。
だから私は、フルートを吹く時に、歌詞を実際に歌って練習してます。もちろん、頭の中で。ときおり口をついて出てしまいますが、それはさすがに音色に影響を与えるので、良くないなあと思ってますが…。
ところがね、どうも、ちょっと細かくて早めのフレーズ。どうしても指とタンギングが一致しなくて困ってましたが、歌うのをやめて、頭の中を真っ白にして「トゥ・トゥ・トゥ…」でやってところ、簡単に一致しました。歌の分だけ、タンギングが遅れていたわけです。
歌詞を付けなければ、楽に吹けるフレーズを、歌詞を付けたばかりに難しくて手に負えないものにしてしまう私、やっかいな性分です。でも、頭を真っ白にして「トゥ・トゥ・トゥ…」は、やっぱりイヤだ。「ド・レ・ミー」でも「シュ・ビ・ドゥ・ビー」でも「パ・パ・パ・ヤー」でも歌詞を付けたいのです。
ああ、うれしい
「ひとこと」に書きましたが、「A1307R」が、フルートの専門誌「THE FLUTE(アルソ出版)」の最新号(12月号)で見開きで取り上げられています。カラーページなので、グラビアみたいですね。A1307Rとは、つまりアゲハさんなんですけれど、いやあ、面映い気分です。
アルタスって、日本のフルートメーカーでは中堅どころって感じで、地味なメーカーだし、アゲハもラインナップの真ん中付近で、これまた地味なポジション。そんな地味×地味のフルートを愛器にしているので、この手の雑誌に取り上げられるなんてことは、全く思ってもいなかったので、雑誌を買って、ペラペラとページをめくって見つけた時は、すごく驚いた。いや〜、なになになになに〜! って感じ?
自分の愛器が雑誌に取り上げられるって、すごく良い気分。
高級機種を使っている人は、よくあることだろうし、ムラマツやサンキョウのようなメジャーどころの楽器は、ラインナップまとめて「ご紹介」ってチャンスがあるだろうし、逆に小さな工房系の楽器も注目されやすい。
アゲハのような中堅メーカーの中堅クラスの楽器が雑誌に取り上げられるなんて(涙)、まずないでしょう。ああ、意味はないけれど、うれしいよお(涙々)。
「THE FLUTE 12月号」は永久保存だな。
それにしても、現在のA1307Rの価格って、57万7500円なんだな…。税金入れたら60万円越しちゃうよ。このクラスのフルートって、店にもよるけれど、あんまり値引きしてくれないんだ、何しろハンドメイドだから、人件費がバリバリにかかっているだろうなあ…。私の場合は、値上げ前だったし、フェアだったとは言え、実に安く購入したんだなと実感。差額で、洋銀フルートが2本買えるもんなあ…。ほんと、よい買い物をしたものだと、自分を誉めてあげたい気分です。
今月の高音事情
発声方法を変えた(なるべく喉の奥で母音を発声する)こともあり、最高音はソまでです。「使えない音が出てもダメ」というキング先生のおっしゃることは、全く正しいので、今は使える音を一つずつ身につけていくことにしています。試験に追われる学生ではないので、何もあせる事はないのです。一つずつ、少しずつ、着実に自分のものにしてゆけば、良いのです。とにかく今月はソまで。これだって、まだ確実とは言えないんだから、地道に努力をしてゆきましょう。
ハイCまでの道のりは、遠くて長いなあ…。
今月の金魚
「ひとこと」でカスミの退院について書きましたが、実はそのすぐ後に、また入院してしまいました。なんかな〜って感じです。やはり赤斑病は不治の病なのかな? なかなかしつこい病気です。
カスミ 退院 2008年10月1日(水)
再入院 2008年10月6日(月)
ハズキ 入院 2008年10月12日(日)
退院 2008年10月23日(木)
カスミ 退院 2008年10月24日(金)
再入院 2008年10月26日(日)
今月のお気に入り
アゲハちゃん。最近、少しずつだけど、かわいいところを見せてくれるようになりました。気のせいか、音色も少しずつ優しい音になってきたような気がします。ツンツンしてないで、いつも笑顔でいてくれると、私はうれしいのだけれどなあ…。
今月のひとこと
笛先生のコンサートに行って知ったこと。フリューゲルホルンとフリューガーボーンは呼び方は似ているけれど、全然違う楽器だということ。前者は甘い音色のコルネットって感じ。後者はバルブ式のトロンボーンって感じ。この年になって初めて知りました。(2008年9月29日〜10月1日)
「題名のない音楽会」というテレビ番組の収録を見に行きました。名曲100選の3回目と4回目の収録で、モーツァルトの交響曲25番とメサイアでした。佐渡裕指揮で、アンサンブル金沢と晋友会の演奏。30分番組の収録に40分前後しか使わないのは、すごいと思いました。あと、前説を佐渡さん自らがやってました、驚き!(2008年10月1〜2日)
栗ごはんを食べた。サンマがおいしい。日本の秋だね。(2008年10月2〜3日)
最近、自宅練習でのナポリ民謡は「オ・ソレ・ミオ」をやってます。テノールなら、誰もが歌いたい、あの歌です。もちろん、最初は楽譜どおりに歌ってましたが、やはりあの“三大テノール”のように歌いたいじゃないですか。あの最後の、聞かせ所の一番高い音は、私の使用している譜面だと、高音のラになります。ラーソソーって感じ。まあ、高いラと言え、一瞬のご登場なので、きちんと音取りをしてチャレンジしたら、歌えちゃった。いいぞ、いいぞ。この曲をきちんと身につけて、レパートリーにしちゃおうっと。ガンバ、ガンバ。………ね、フルートだけじゃなく、歌も頑張ってるでしょ。(2008年10月3〜5日)
お恥ずかしいことに、また風邪をひきました。職場で大流行中だから、仕方がないです(涙)。今度の風邪は、ノドには影響がないので、歌う分には支障がないのでいいのですが、その代わり、頭とお腹がめっちゃ痛いです。新幹線がお腹の中で走っている気分です。(2008年10月5〜9日)
ご心配かけましたが、風邪はどうやら、山を越えたような気がします。とは言え、体が何となくダルいのは、風邪がまだ残っているからでしょうか? それともストレス? それとも過労? それとも老化? いやあ、思い当たることが多すぎて…。仕事はなかなか忙しいのですが、少しペースダウンするかな。(2008年10月9〜12日)
なぜか悲しかったこと。それは先日、モーツァルト作曲「フルートとヴァイオリンとチェロのためのソナタ」という曲を、アマチュア楽団だったけれど、生で聞いた時のこと。いわゆる小ホールのセンターど真ん中という、ベストの位置で聞いていたにも関わらず、ヴァイオリンとチェロの二重奏にしか聞こえなかったこと。奏者の力量の問題もあるにせよ、あきらかにフルートが主役の室内楽曲だったにも関わらず、音楽的にはフルートが不在だったこと。いくらフルートが小音量楽器とは言え、ヴァイオリンとチェロ各1台という、ある意味最小編成の楽器群に音がかき消されるとは…。フルート界の新参者としては、悲しいやら、情けないやら、涙が出てきます。がんばれ、フルート。負けるな、フルート。(2008年10月9〜13日)
「さらば仮面ライダー電王」を見てきました。いやあ、キグルミのアクションシーン、かっこいい! キグルミのコント、おもしろーい! キグルミ、最高!! 「さらば」なんて言わないで、次も作ってくれないかなあ、仮面ライダー電王。いやあ、子ども向け映画だけれど、すっごく真面目に作っていて、おもしろいのよ。いや、ほんと。(2008年10月13〜15日)
今度の土日は、銀座の山野楽器でアルタスフルートの試奏会・相談会・調整会があるそうです。ううむ、行きたい! しかし仕事が忙しすぎて、とてもじゃないけれど調整がつかない! ああ、悲しい。ああ、恨めしい。(2008年10月15〜16日)
頭が割れてしまいました(涙)…と言いたいくらい、頭痛が激しいです。ううむ、仕事忙しすぎ、ストレスに負けてます(涙々)。これだけ頭痛が激しくても、フルートの練習は、何故かできてしまいます(涙々々)。でも歌は…ダメ。フォルテを出した途端に、ピキーーーーンと頭の中の何かが切れちゃっいました(涙々々々々…)。自分自身が楽器ってのも、善し悪しだなあと思いました。盗まれる心配がない代わりに、無理は絶対はできないのでした。(2008年10月16〜18日)
試しに計算してみました。70才までフルートを毎日吹き続けるとしたら、アゲハの使用料の日額は…約70円。タバコよりは安い。しかし、70才まで生きている自信は全くないし、毎日フルートを吹き続ける余裕もない。そう考えると、使用料の日額はたぶんタバコ一箱(約300円)程度になるんじゃないかな? 値段は一緒でも、こっちはかなり健康的な趣味だね。(2008年10月18〜22日)
今日の記事(10月22日)と少し重なるけれど、楽器として、私というテノールは、アゲハという名のフルートに完敗していると、つくづく思う。音色の美しさ、ピッチの正確さ、発音の滑らかさ、機敏な反応性、それらすべての面において、楽器としての私はアゲハに負けている。わずかに私の方が優れているのは、音量かな? 私の方がアゲハよりも“遠鳴り”する。あとは、携帯性? 声はどこにでも持っていける。最後はセキュリティ? 声は絶対に盗まれないし、電車の中に置き忘れない。なんか悲しいな。たかが、銀のチューブに負けてるんだよ、この私が…。 ああ、歌手としての私は、フルーティストとしての私に、いつ追いつけるのだろうか? って、フルーティストと名乗れるほど笛吹けないだろうって? ごもっとも。(2008年10月22〜25日)
とりあえず、カスミとハズキは退院しました。ハズキはすっかり元気になりました。カスミは…安定したかな?って感じです。メイン水槽に戻って、ハズキはマイペースになってますが、カスミはまだヨロヨロです。カスミに関しては、要経過観察って感じですかね。(2008年10月25〜26日)
フルートの専門誌「THE FLUTE(アルソ出版)」の最新号(12月号)の22ページを見て、びっくり。いやあ、見開きで「A1307R」の特集記事ではありませんか。A1307R、つまりアゲハさんです。アゲハさんって、専門雑誌の特集記事でとりあげられるほどの楽器だったのね。知りませんでした。何しろ、ブランドとか、楽器のランクとか、全然知らずに、ただ自分の耳だけを信用して、試奏して、選んだ楽器だからねえ。いやあ、なんというか、自分の妻が誉められているような、そんな面映い気分です。(2008年10月26〜30日)
今月の落ち穂拾いは、以上です。ちゃんと拾いきれているかな?