2009年03月03日

頭声を出してみた(らしい)

 声楽のレッスンに行きました。

 『練習禁止令』で自宅で歌わなくなって、三週間ほど経ちました。いやあ、だいぶ悪い癖が抜けたようです。

 先生の導きのままに発声をしていたら、よく分からないまま、なんかカーンときて、ピーンとした声が出た…らしいです(?)。“らしい”とは、私自身は全くそんな自覚がないから“らしい”としか書けません。

 先生からは「カーンと来たでしょ」と言われましたが、全然分かんない。「ピーンとした声が出てましたよ」とも言われたけれど、全然分かんない。本人的には、低い音域をフニャフニャした声で歌っていたつもりで、全く自覚もなければ、手応えもなし。どちらかと言うと、物足りない感じで歌ってました。

 実際には五線の上のAs(ラのフラット)まで歌っていたそうなんだけれど…。

 隣にいた妻は「キング先生みたいな、すごい声が出てた」と言ってました。それはおおげさな…。

 先生がおっしゃるには、この声が“頭声(とうせい)”なんだそうです。え? ウソ? そうなの?

 困った困った。どうやって出したのか、全く分かんないよ。体をどう使っていたのか、自分で全然分かんないよ。

 自覚している事は
  1)とにかく、楽に、適当に、フニャフニャに歌っていた。
  2)声は奥から出す(感覚的には頭ではなく、盆の窪の当たりかな?)。
  3)声の出し方は低音を出す時のまま、何も加えない、何も変えない。

 これでは自宅での練習はできないよ。だって再現できるほどの、ちゃんとした確信も手応えも無いもの。あ、ちなみに『練習禁止令』は解かれましたので、自宅練習OKになりました。その代わりに『発声練習禁止令』が出ました(笑)。つまり「発声練習はダメだけど、歌は歌っていいよ。だから音取りしてね」ということです。

 自分でよく分からずに出したら出ちゃっただけなので、もう一度出せるかどうか不安だと言ったら「一度出たのだから、もう大丈夫でしょう」と先生。「それよりも、以前のような歌い方はしないように気をつけてください」と言われました。

 そうか…! 三週間に渡る『練習禁止令』は、頭声発声のための準備だったわけだ! 年が明ける少し前くらいから、キング先生が「そろそろ、すとんさんもテノールの声が出るはずなんですよねえ…」と言っていたのは、この事だったのか!

 ここで頭声の説明をしましょう。頭声とは…何でしょ? ザクっと言っちゃうと“高い声”のことなんですが、かと言って、甲高い声ではありません。大雑把に言っちゃうと、柔らかい感じの木管楽器ぽい高い声です。とは言え、声の太さは人によって違う(か細い声の人もいれば、力強い声の人もいる)ので、聞いた感じの印象が、人それぞれでだいぶ違うのも、定義付けが難しい理由ですね。

 男声の場合は、頭声と裏声(ファルセット)は(印象的には)明らかに違うものですが、女声の場合はかなり似た感じなので、区別が難しいという話も聞きます。

 正しいイメージとしては、オペラ歌手が高い声を「アーーーー」って伸ばすでしょ、アレです。ポピュラーヴォーカルの世界で言う、ハイトーンボイスとかヘッドボイスとかは、厳密に言うと違うものかもしれませんが、大雑把に言っちゃうと同じようなものです。さらに大雑把な話をしちゃうと、男声の場合は、ミックスボイスという奴ともほぼ同じだと思います。

 すごい、大雑把な話をしていると、自覚してますよ。とにかく“聞きやすい高音”の事を“頭声”というと思って結構です。

 対して“聞きづらい高音”というか“味のある高音”てのは、喉声なんですね。喉とその周辺に力をウンと込めて、それで高音を発声するやり方。邦楽の発声方法は基本的にこっち。洋の東西を問わず、ロック系の歌手は案外こっち。ジャズのハスキーな声もたいていこっちです。喉にポリープができたとか、昔は高い声が出たんだけれど…とか、声がしわがれてしまったとか、そう言っているのは、たいてい喉声発声の人です。喉声は喉声で魅力的ですが、クラシック系では絶対に使わない発声方法です。

 頭声って、クラシック系だと、テノールの必須条件ですね。頭声の出せないテノールはいないと言うか、頭声が使えないとテノールになれないと言うべきか、そういう感じ。だからテノール予備軍の方々は頭声の獲得にやっきになる。もちろん、合唱テノールさんだと、頭声が使えなくて、代わりに裏声を使う人も多いだけれどネ。

 とにかく、私、頭声を出していたんだってサ。

 へー、へー、へーだね。喉声野郎の私が頭声? 自分の事ながら、にわかには信じられないね。

 だから私はこう言ったのさ「頭声というほどには、手応えがありません」とね。そうしたら「今は物足りなく思うだろうけれど、それでも一曲丸々歌うとヘトヘトになると思わない?」……思うかも。ああ、だからこのくらいのパワー配分でいいのか! 

 とにかく私、生まれて始めて“頭声”と言うものを出したみたいです。今回は出しただけなので、今後はその定着と音域拡大を目指すらしいのですが…実感がない。

 そこで、レッスンが終わって家に帰ってから、録音を聴いてみました。録音……レッスンの録音です。今までは録音機材を持っていなかった事と、録音しても聞き直している時間もないという理由で録音していなかったのですが、今回からは、録音機械も買ったし、妻が自分のレッスンの復習をしたいというので、録音してみたんです。それで、レッスン中の自分の声を聞いてみたんですが…、

 いやいや、驚き。「キング先生みたいな〜」は、やはり言い過ぎだけれど、なんかいっぱしのオペラ歌手のような声で歌っている自分がいたよ。いやあ、なんか感慨無量。キング先生の元で勉強始めて三年目だけれど、三年やって、ここまで来れたか…。いやいや、三年で頭声なんて、むしろ少し早いくらいだね。普通はもう少し時間がかかるという噂を聞くけどね。

 聞いた感じ、自画自賛だけど、結構な美声じゃん、私。……でも、音程はかなり甘いな(苦)。特に限界近くになると、こりゃあ使い物にならないじゃん。

 おまけに機械に納まりきれないくらいに大音量。楽に出して、この音量なのだとしたら、自宅で歌の練習なんてできないじゃんか!

 と言うわけで、発表会に向けての「ああ、私の愛する人の」に関する話は、また明日アップします。

おまけ。個人声楽レッスンを受ける場所については、レッスン場所を求めて二転三転したものの、結局、以前グループレッスンを受けていたカルチャーセンター内で開講していただける事になりました。それも私たちにとって一番都合のよい時間帯です。色々な意味でラッキーです。キング先生並びにカルチャーセンターの方々に感謝です。

 で、そのカルチャーセンターで我々がレッスンしている教室の隣では、前回は二胡のレッスンが行われていたのですが、今回は空き部屋になっていました。アレ?と思って調べてみたら、二胡はかなり離れた教室でやってました。

 妻が言うには「迷惑をかけたんじゃないの? 二人(私とキング先生)とも半端なく声が大きいもの。防音設備なんて何の役にもたっていないし…。隣からあの声が聞こえたら、二胡のレッスンどころじゃないでしょうね」だと。おそらく正解です。ごめんなさい>二胡のお教室の方々。