2009年03月11日

腹式呼吸、雑感

 腹式呼吸。声楽とか管楽器とかでは基本のテクニックです。ネットだとよく話題になっています。それだけ迷う人がいるというわけですね。私は何となく身についているので、その立場から、ちょっとだけアドバイスなどを書いてみたいと思います。

 まずは、腹式呼吸って何?ってところから。

 難しい事は抜きにして答えてみると、腹式呼吸って『深い呼吸』のことです。

 呼吸って、『浅い呼吸』と『深い呼吸』の二種類の呼吸があるのは分かるでしょう。え? 分かりづらい? では『深い呼吸』でも分からなければ『深呼吸』だと思ってもいいや。一方の『浅い呼吸』は『普段の呼吸』でいいよ。そんな感じ。

 だから 「呼吸が浅い。もっと深く」とか「腹式呼吸でお願いします」って言われたら、それは「深呼吸をしてください」とか「深呼吸をしながらお願いします」と言われていると思っていれば、正解だと思うよ。

 次に、深呼吸って言うと、どうしても体操の『両手を横に大きく開いたり、胸の前で閉じながら、息をするアレ?』というイメージがありますが、アレを考えた人って、誰なんでしょうね。あんなことをしても深呼吸なんかできないのに…。試してごらんなさい、呼吸と腕の動きなんて、何の関係もないから。

 じゃあ、どうやって、私たちは深呼吸しているかっていうと…、別に悩むことはない。今そこで試してごらんなさい、すぐに分かるから。イメージとしては「澄みきった高原に咲き乱れる花々、そこにやってきた貴方は、思いっきり辺り一面の美味しい空気を吸ってみる」でやってみる。そうそう、それね。それよ、それそれ。

 ね、分かったでしょ。それが腹式呼吸。それを、歌う時でも、楽器を演奏する時でも、深呼吸をし続けていれば、OKなわけだ。

 では、どうすれば腹式呼吸マスターできるの?って話になります。

 これは体の動かし方の話になるので、ここであれこれ書いてもたぶん分からない。書いても分からないけれど、見たり触ったりすると「ああ、なるほどねえ」と分かります。だって、これって、どうやって体を動かすかという話なので「百聞は一見にしかず」なんですよ。

 つまり具体的、テクニックとしての、腹式呼吸のやり方については、それぞれの先生について指導を受けるしかないのです。と言うのも、どうも人によって、色々とやり方違うような気がするんですよ。性別とか骨格の違いとか筋肉量の違いとかで、体の使い方がどうも違うみたいなので、自分に適した一番良い方法を自分の先生と一緒に探してください。あいにく独学の方は、呼吸法の書籍を当たるとか、ネットで「腹式呼吸」とかでググると、私よりも親切に解説しているページがたぶん見つかります(ちょっと無責任?)ので、そちらを参考にしてください。

 と、これだけで投げ出してしまうと、さすがに不親切だと思うので、一応、万人共通の注意点だけを書いておくと…。

・腹式呼吸というけれど、吸う時は背筋を使います。吐く時は腹筋を意識します。

・腹式呼吸というけれど、腹部よりも腰部に空気を溜める感覚です。

・呼吸って、吸う事よりも吐く事の方が、実は難しいです。

・呼吸って「息を吸って吐く」事ではなく「息を吐く」ことです。息はきちんと吐ければ、勝手に吸われますので、「息を吸う」ことについては、あまりたくさん考える必要はありません。

・息の吸いすぎに注意。息をたくさん吸う事は大切ですが、必要以上に吸っても、息が持ちません。却って逆効果です。息は自然に吸える分だけで十分です。

・肋骨は鳥籠ではありません。肋骨にも関節はあります。その関節を意識して、たくさんの息を瞬時に体内に入れてください。

・つまるところ、腹式呼吸の練習って、上手な息の吐き方の練習なんです。

・実際の呼吸の練習とは、呼吸筋の筋トレだと思ってください。だから、体を作ることが大切です。

 次に『息の支え』について。

 『息の支え』って何かと言うと、これも難しい事を抜きにして書いちゃうと『息をゆっくりと一定量の保ったまま、吐き続けられること』なんです。たったこれだけのこと。でも、その「たったこれだけのこと」が実に難しいのです。

 試しにやってみてください。大きな声である必要はありませんが、大きく口を開いたままで「あー」と言ってください。何秒できますか? 私も試しにやってみました。40秒でした。たぶん、これくらいしかできないと、キング先生に怒られそうな気がしますが、リアルに40秒です。たいして長くはないですが、少なくとも40秒間、声が出せました。つまり、これは40秒間、息が一定量で吐き続けられたわけで、40秒間、息を支えることができたと言えます。

 コツは…息を吸った時に腰を思いっきり張ったと思うのですが、息を吐く時に、なるべく息が体から出ないように、その腰を張ったままの状態をキープしつづけていくのがコツかな? ある人は「息を吸いながら声を出す感覚」と言った人がいますが、理屈ではありえないことですが気持ちとしては分からないでもないです、そんな感覚でやると良いと思います。これも簡単ではありませんが、練習あるのみです。

 では、どういう風に練習をするのって事になりますね。

 基本は、腹部の筋肉だけで、ロングトーンとスタッカートをすればよいと思います。腹部の筋肉だけと言うのは、ノドとかクチビルとかの力を一切利用しないということです。

 声楽ならば、大きく口を開いて、歌う時と同じあくびのノドにして、ロングトーンとスタッカートです。フルートならば、楽器を構えたまま、ノンタンギングで、ロングトーンとスタッカートをすればよいと思います。回数は、倒れない程度に、体を壊さない程度に、多少苦しいかな?って、思える回数でいいと思います……が、くれぐれもやりすぎて事故を起こさないようにしてください。

 ええと、次はよく言われる、息の長さと肺活量について。

 「私は肺活量が少ないので息が続かない」とか「肺活量が多い人は得だよねえ…」とかいう発言を、アマチュア音楽愛好者からたまに聞く事がありますが、よく誤解するのですが、基本的に両者は無関係です。

 息の長さは『息の支え』が上手か下手かに専ら依存します。つまり『息の支え』が上手な人は息が長くなります。『息の支え』が下手な人は息が長持ちしません。いくら肺活量が豊富でも、息の支えが下手なら、あっと言う間に息をすべて吐き出してしまうので、息が長持ちしません。

 ただ、腹式呼吸を身につけると、肺活量は増えていく傾向は見られます。おそらく腹式呼吸を学ぶ過程において、体のあっちこっちの筋肉が鍛えられ、今まで開かなかったところが開いたり、空気が入らなかったところに入ったりするようになった結果、肺活量が増えていくのだと思います。

 最後に一つ。私がここにサラっと書いたことだけれど、書き方としてはサラっとしてますが、実際に行うとなると、かなりキツいことだらけです。これらをヒントとか参考意見にして、自分の先生から手取り足取り習うのが一番良いです。先生に師事していない独学の方に忠告すると「呼吸の訓練はかなり危険な訓練だから、そこを覚悟の上でやるように」お願いします。

 独学だと加減が分からないので、やりすぎてしまって倒れたり、間違った方向に行って体を壊すということがありますので、そこに注意し、万が一の時は、助けを呼べる態勢を作って練習に望むようにしてください。実際にヘタなことをやると倒れてしまいますよ(おおげさな話ではなく…ね)。

 腹式呼吸。基本技ですし、避けては通れないテクニックなんですが、マスターしてしまえば、どってことのないモノなのです。しかし、そこに行くまでは大変かもしれません。とにかく、体を作っていかないといけませんので、時間がかかります。そういう意味では、ダイエットと一緒かもしれません。気長に毎日少しずつ練習していきましょう。

posted by stone at 05:25| Comment(8) | TrackBack(0) | 音楽一般