2009年03月12日

最近実感する、電子ピアノの限界

 フルートの試奏を趣味にするようになってから、楽器の音色というか、音質というものに、ほんの少しだけこだわりを持つようになりました。楽器の善し悪しって、結局は音色じゃないかなと思うようになりました。音色の美しい楽器が良い楽器で、たとえ音程バッチリで操作性も抜群だけど音色の面でダメな楽器は、やはり良い楽器とは言えないでしょう。

 もうちょっと言うと、楽器の音色さえ美しければ、奏者の技巧が多少(あくまで多少ね)問題があろうが、平凡な曲とか、さらに陳腐な曲ですら、感動的に聞こえるものです。少なくとも、うっとりした気分になれます。“美しい音色一つあれば音楽が成り立つ”と言っても、決して言い過ぎではないと思います。

 そんな私なので、ようやく最近、電子ピアノに不満を感じるようになりました。(今更かよ〜という突っ込み歓迎です)

 電子ピアノの音色そのものは、実はそんなに悪くないです。安物の電子ピアノでも日本メーカーのものであれば、ロクに弾き込まれていない、調律もあやしいアップライトピアノなんかよりも、ずっとずっといい音を出します。いい音を出すのですが、それでお終いなんですよ。

 たぶん電子ピアノだと、ピアノの達人が弾いても、ウチの息子君が弾いても、猫が鍵盤の上を歩いても、同じくらいいい音を出します。ま、タッチレスポンスが付いているから、ボリュームという点ではそりゃあ、違うけれど、音色という面では、おそらく全く同じ。

 これは純粋な電子ピアノだけじゃなく、サイレントピアノのサイレント部分だって同じ事。サンプリングされた音を音源としている、電子ピアノが持つ宿命みたいなもの。つまり、誰がどう弾いたって、そのサンプリングされた音が再生されるだけなのである、電子ピアノって。

 だから、奏者がどれだけ感情を込めたところで、その感情が電子ピアノに伝わることはない。電子ピアノの鍵盤に見える部分は、単にサンプリングされた音を、どういうタイミングでどういう音量で再生するかを決めるスイッチでしかないのだから。そう、あれは鍵盤ではなく、スイッチなんだな。

 だから、電子ピアノでは、たとえどんなに美しい音色であっても、一つの音色しか使えないのである。サンプリングされた音源が多ければ、それらの音源を切り換えて使用することは可能であろうが、それはあくまでサンプリングされた音源の切り替えであって、音色の変化ではないのだ。

 息子君のピアノ(もちろん電子ピアノです)を弾きながら、そんな事を考えた。

 この電子ピアノを弾いている限り、息子君はピアノの上達は望めないだろうな。もっとも、その前に練習しないから、そもそもが上達するって事自体が無理な話だけど(笑)。

 ピアノのタッチで音色づくりの練習を始めるのって、どの段階くらいからだろうか?

 やはりピアニストさんは、音色にこだわって、自宅のピアノを選択しているのだろうか?

 演奏会場のピアノの音色の違いに、ピアニストさんたちは、どうやって対応しているのだろうか?

 アップライトとグランドでは、機械的な構造が全く違うのだけれど、奏者としての音色づくりのテクニックは同じなのだろうか? それともアップライト向けのタッチ、グランド向けのタッチのようなものはあるのだろうか?

 音色について考え始めると、とめどもなく考えてしまいます。ああ、これも悲しい、オタクのサガだな。

posted by stone at 05:29| Comment(20) | TrackBack(0) | ピアノ