2009年09月15日

歌いながら、溺れていた私

 声楽のレッスンに行ってきました。今回もたくさん習ってきました(ラブ!)。

 まずは呼吸。背中の使い方を点検。とにかく、例の二本の筋肉(腰骨のすぐ上あたりの背骨に沿った縦二本の太い筋肉ですね。今だに名称を知りません:汗)だけを使うように注意される。背中の上の方の余計な筋肉は使わないように心掛けるのである。使う筋肉と、使わない筋肉のメリハリを大切にって感じですね。

 あの二本の筋肉でグイグイと息を支えるのですが…他の胴体の筋肉がつりました(涙)。変な力が入ってしまったようです。ああ、難しい。

 次に姿勢。この二本の筋肉に気がいってしまい、姿勢をうんと壊してしまいました。しっかり息を支えながら、下半身はビッとしないとね。内腿をギュッと絞って、腹は裏側に、背中は下側に引っ張って立つ。二本の筋肉に集中していると、ついつい猫背になっちゃうのよ。でも、猫背はダメなんです。むしろ『声は下半身から出す』くらいの気持ちでいかないとね。

 それができたら、いよいよ発声。とにかく高音を少しずつ拡張している最中です。基本は中音域の声。この声の状態のまま、リラックスして上に登っていく。絶対に力まないで、そのまま上へ。上に登っていくにつれ、少しずつ頭の斜め後ろの方を開いていくだけ。
 声量&息量は必ず少なめにする事がポイント。しっかり声を出そうとしては、逆にいけない。とにかく音程が当たってさえいれば、弱くて小さい声の方が良い。くれぐれも、息の勢いでどうにかしようとしてはいけない。

 この「息の勢いでどうにかしよう」とするのは、私の悪い癖なので、まずはその悪い癖を取り除きましょうって事です。

 軽く、軽く、弱く、弱く。高い声の出るポイントを狙って、そこに軽く息を当てるだけの練習です。まるで、フルートの高音の練習と一緒ですね。人間の声も笛の一種なんだなあ…って思います。

 さて、歌の練習です。

 実は私“Tu lo sai”が、まともに歌えません。いやあ、ぶつ切りにすれば、部分部分はひとまずきちんと歌えるつもりですが、続けて頭から歌っていると、終盤に向かって、ドンドン歌えなくなり、最後の30秒ぐらいは、声がまともに出なくなっちゃいます。

 これは自宅で練習していても、いつもそうなので、困ってます。

 曲で使用している音が平均的に高いし、ゆっくりの曲なので、おそらくは疲れてしまって歌えなくなるのではないかと思っていました、だから、後半にいくに従い、根性入れて歌ってみたのですが、それでもやっぱり歌えない。実に悩み多い曲なんです。

 そんな私を見て、キング先生は、その原因をずばり指摘。それは…息がドンドン上がっているから歌えなくなる。その対策もズバリです…息をきちんと吐けば良い。それだけ。

 どういう事かと言うと、私、歌いながら溺れていたのですよ。それで苦しくなって、ドンドン呼吸が浅くなって歌えなくなっていた…とまあ、こんな感じです。

 歌いながら溺れる? はい、水で溺れるのではなく、空気で溺れていました。

 それは歌いだす前に「この曲は大変だー」と思うので、歌いだす前にしっかりと息を吸います。歌い始めます。で、歌っていてブレスマークをみると「この曲は大変なんだから…」と思い、またしっかりと息を吸うわけです。そうやって、ブレスマークの度毎にしっかり息を吸い続けて歌います。

 何の問題も無いみたいでしょ?

 しかし、曲そのものは、ゆっくりした曲ですし、丁寧に歌っている事もあり、息はやや余り気味になります。フレーズの終わりになっても、息が間に合っていると、うれしいですよね。そんなうれしい気分のまま、ブレスマークを見ると、しっかりと息を吸うわけです。

 そうなると、肺の中は、常に空気で一杯になるので、安心して歌える…はずなんですが、これがいけないのです。吸って吸って吸ってとやって増やした肺の中の空気は、実は、二酸化炭素ばかりの空気なんですよ。本当は、吸って吐いて、吸って吐いて…と常にガス交換(つまり本来的な意味での“呼吸”)をしなければいけないのに、息が足りなくなることを恐れるあまり、吸って吸って吸って、とやってしまうのです。

 肺の中にはたしかに空気がたっぷり入ってます。でもこの空気は、本来は吐かないといけない二酸化炭素だらけの空気なんです。それなのに、息を吐く事を惜しんだため、肺の中は、二酸化炭素だらけの空気なんです。そんな二酸化炭素だらけの空気が肺の中にたっぷり溜まっていると、段々苦しくなってきます。なにしろ酸素足りてませんから…。苦しくなるから、さらに息を吸います。でも、すでに空気でパンパンな肺の中にむりやり息を吸い込むものだから、ドンドン息が浅くなり、息が上がってきます。そして、ある時点を越えると破綻してしまい、声が出なくなります。

 それが私だったのです。だから、息を吸うのではなく、むしろ、積極的に息を吐いていかないといけないのです。

 いつもは、息を吸うことばかりに注意していた“Tu lo sai”ですが、今回は積極的に息を吐いてみました。

 息って、吸わなくても入るものなんですね。きちんと息を吐ききると、次の瞬間には無自覚に息が吸い終わっているのです。だから、この無自覚に吸った息を使って歌う。余った息は捨てる。息を捨てると、次の新鮮の空気が知らない内に吸えている。だから、その息を使って歌う。これの繰り返しなんですよ。

 いつもは破綻する箇所の直前で、しっかり息を吸い込むのではなく、逆にきちんと息を吐ききってみました。すると今までは、青色吐息で歌っていなかった箇所が、実にラクラクと歌えました。ただ、息を吐いただけなのに、ちゃんと歌えました。いやあ、不思議。

 ポイントは、きちんと息を吐ききること。できれば、肺の中が空っぽになるくらい息を吐ききる事。吐ききれば、最小限の息が体の中に入ってきます。その少ない息をしっかり支えてちょっとずつ息を使って歌っていく。残ったら息を捨てて、新しい息をほんの少しだけ吸う。それだけの話。

 そのためにしっかりと息を支える事が肝心。なにしろ、息を支えないと、あっと言う間に肺の中の空気が無くなってしまう。肺の中の空気が無くなってしまうのを恐れるから、今までたくさん息を吸っていたのだけれど、しっかり息を支えていれば、そんなに息を使う事はない。息を使わないなら、息をたくさん吸う必要はない。そういう事なんです。

 実際に、オペラ歌手が歌っている姿を見ていると、その声量の割には、呼吸は至って穏やかなものです。楽に、ほんの少しの息を吸ったら、その、ほんの少しの息をほんの少しずつ使って歌い続け、フレーズの終わり頃にちょうど息を使い切り、ブレスを楽にして、次のフレーズを歌う。実に穏やかなブレスをしています。息を吸う音がしないどころか、息をしている様子さえうかがわせない歌手もいるほど。ああいう姿を見ると、私の歌い方の息の使い方の乱雑な事…(涙)。

 とにかく、息をため込まない。吸ったら使い切る。余ったら捨てる。これをきちんとやれば、歌いながら溺れることはないのである。

 ああ、たかが呼吸なのに、ムズいよ(汗)。