2012年08月08日

2012年フルートワールドでフルートの試奏をしてきました

 ええと、毎年恒例の銀座山野楽器の“フルートワールド”に今年も行ってきました。今年の目的は二つ。一つ目は『ヤマハフルートをもう少しよく知ろう』で、二つ目は『次の私の買い換え候補の楽器を探しておこう』です。


 まずは『ヤマハフルートをもう少しよく知ろう』からです。

 ヤマハの楽器は、フルートに限らず、どの楽器も私の趣味ではありません。別にこれはヤマハをディスっているわけではなく、単純に、例の“ヤマハトーン”と呼ばれる音色が私の趣味とは違うってだけの話です。だって、ヤマハの楽器って、どれもこれも、ややくすんだ感じの、色に例えると、中間色のような音色でしょ? 私はビビッドな音が好きだし、パキッとした音が好きなので、ヤマハをスルーしてしまうだけです。

 でも、吹奏楽のフルートって、圧倒的にヤマハじゃないですか? 吹奏楽の顧問としては、ヤマハの楽器についても知っておかないといけないし、現実問題として、ウチの部のフルートちゃんたちもヤマハを使っているわけなんだけれど、その音色に「???」を感じている私なので、そこらへんもきちんと確認しておきたいなあって思った次第です。

 まずはヤマハのブースに行って、吹奏楽で多用される、YFL-211とYFL-311を吹かせてもらいました。

 211も311も、改めて吹いてみると良い楽器ですね。音色は軽くて、吹き心地も軽くて、お気軽な気分でフルートに親しめる感じがします。もちろん、ヤマハトーンな音色で、私の好みではありませんが、一般的には、さわやかな音色のフルートと言って良いと思います。

 ただ、p-fの差があまり無い事と、そのために、簡単に音色がつぶれてしまう事が、気になりました。音色がつぶれてしまうのは、簡単に言えば、材質が洋銀と言う事もあって、オーバーブローをしやすいせいでしょうね。いわゆる“吹奏楽のフルートの音”ってのは、これらの楽器をオーバーブローして音色をつぶした時の音なんだなって、改めて思いました。音色をつぶしてしまうなんて、ジャズならオオアリですが、クラシックでは御法度です。吹奏楽では…現実的にはつぶれた音色が横行してますが、本来的には美しい音色で吹いた方が良いのではないかと思います。ならば、そこはグッとこらえて、オーバーブローの一歩手前の状態で吹くのがフルート本来の美しい音色が楽しめて良いのですが、211や311でそれをやってしまうと、音量的に厳しいものがあるかもしれませんし、だいたい技量的に、限界の一歩手前でセーブしろなんて、学生に求めるのは酷なのかもしれません。

 そうなると、フルートの数を増やして音量を稼ぎたいところですが、コンクール志向の部だと、人数制限があって、そうはいかないでしょう。となると、もっと音量の稼げるフルートを使用させるべきでしょうが、そうなると、最低でも総銀フルート? 出来ればゴールドフルート? そんな話になってくると、学校の部活としては、現実的な選択ではないですね。となると、フルートちゃんたちに個人負担で総銀フルートを購入させる? 学校の部活でそこまで個人負担を要求して良いものでしょうか? だいたい、技術的に未熟で、カラダもまだ成長途中にある学生たちに総銀フルートがきちんと吹けるのか? …色々と悩みが生まれます。

 ただ、いくらどうやっても、私が吹くと、ウチの生徒たちが吹いているような、硬い音は出せません。あれはオーバーブローの音とは違います。やはり、楽器の調整が悪いのかな? それとも奏法に問題があるのかな? 要研究です。

 それにしても、211も311も、コスパは最高ですね。世界のベストセラーフルートである理由はよく分かりました。このレベルの楽器を手にする人は、腕前も未熟である事が多いのでしょうね。自分の未熟な事を楽器のせいにして、これらの楽器をディスる人が多いんじゃないかな? だからこれらの楽器の評判が、ちと悪い…んじゃないかな? 私が思うに、211も311も、評判とは全然違って、いい楽器ですよ。道具としては、なかなかのものです。少なくとも合奏の中で使うなら、ずっとこの楽器でもいいんじゃないかな? ソロなら音色にも気をつけないといけないけれど、合奏だと、どっちにしても他の奏者や他の楽器と音が混ざるわけだし、音を混ぜる前提なら、むしろヤマハトーンは混ぜやすい音色をしていると思うしね。きちんと吹けるなら、ヤマハのスクールモデル(ヤマハでは“スタンダード”って呼んでますね)で十分だなって、今回思いました。

 要は適材適所って奴ね。合奏メインの活動をしていて、フルート自体に慣れていない人には、211とか311って、実に適した楽器だと思います。
 
 
 さて次は『次の私の買い換え候補の楽器を探しておこう』です。ま、あくまで“買い換え候補の楽器”を探すだけで、すぐに買うつもりはありませんが…。とりあえずH先生から「9Kのフルートにしなさい」と言われています。でもね、9Kと言うと、ムラマツでしょ? 私はヤマハの音色も趣味ではないけれど、別の意味でムラマツも趣味ではないんですよ。だから、他のメーカーに私に合った良い楽器はないかなって、今から探しておきましょうって事です。

 まずは、引き続きヤマハです。でも、自分用なので、ハンドメイド系のフルートの試奏と言うと、ビジューとメルヴェイユは今まで散々やってきて、そのイメージは自分の中にあるので、今回はお初のイデアルを試奏してみました。

 イデアルは…かなり良いかも! 何が良いって、他の楽器じゃあ考えられないほど、p-fの幅が広いのです。息がかなり入りますし、いくら入れても簡単にオーバーブローにはなりません。マックスの音量はかなりありますが、それよりもミニマムの時の音が、実に楽にキレイに鳴ります。また、ポイントもかなり広くて、かなりラフに吹いても、きちんと鳴ります。音色も、いわゆるヤマハトーンとはちょっと違ってソリスト向けの音色です。ううむ、私は今までヤマハフルートならメルヴェイユが最高って思ってましたが、イデアルも違った意味で捨てがたいです。ビジュー、メルヴェイユ、イデアル、とヤマハは確実に改良進化をしてますね。ヤマハって、すごいメーカーだな。

 イデアルには、総銀モデルとゴールドモデルがあるわけで、それぞれを吹いてみました。現時点での私チョイスでは、ゴールドよりも総銀の方が良いかな? ゴールドの方がfの音量が増していると思いますが、pを鳴らすのに、総銀よりも息が必要なのが気になりました。あと、やはり私はゴールドの音色はあまり好きではありません。なので、フルートの音色やコントロールのしやすさを考えるなら総銀が、絶対的な音量が欲しいならゴールドが、ってところでしょうか?

 イデアルは私の次の楽器候補として十分な楽器です。

 ちなみに、イデアルのシルバーモデルは、銀無垢だそうです。今までのヤマハの総銀モデル(ナンバーモデルね)は、総銀だけれど銀メッキ処理をしていたそうです。やっぱ、銀無垢はいいよね。
 
 
 そうそう、マテキフルートさんの取り扱いが、ラモサウンドさんの(関東地区限定だけど)一社独占ではなくなり、銀座山野楽器でもマテキフルートを取り扱えるようになったんですよね。で、今回、フルートワールドでマテキフルートの試奏が可能になったので、さっそく、G10を吹いてみました。

 G10ってのは、金10%・銀90%の材質で作られたフルートです。いわゆる9Kが、大雑把に言うと、金40%・銅60%の材質で作られていますから、G10は9Kよりも、かなり総銀寄りなんですが(だって、金10%って事は、2.4Kって事でしょ?)、吹いてみると、銀とも金ともつかない音色で、ちょっと戸惑いを感じました。癖になる音色…って言えるかも。

 マテキの音色は元々好きですから、G10は個人的にはアリかもしれません。ちなみに、マテキの総銀は、アルタスの総銀と音色的には、さほど違いがないので、私的にはナシですが、G10はアリです。それくらい、おもしろい音色のフルートでした。ちなみに、G10の見た目は、やや黒っぽい銀色で、一見、プラチナフルートにも見えます。そういう意味でも癖のあるフルートですね。
 
 
 私は基本的に総銀フルートが好きなのですが、パワーを考えると、やはりゴールドも捨てがたいと思うようになりました。ならば、ライザーだけでもゴールドに、いやいや、リッププレートや反射板もゴールドにしてみようかしら…と思う事もあります。そこで登場するのが、ミヤザワフルートですね。

 ミヤザワフルートは、同じモデルで、ライザだけゴールド(メッキじゃないそうです)とか、ライザとリッププレートと反射板をゴールドにした総銀フルートが、ラインナップされているので、ミヤザワを試奏して、そのゴールド効果を確認してみました。

 ライザをゴールドにするだけで、すでにシルバーな音色は失われます。ううむ、ライザは音色という点では、とても大切なパーツのようです。また、ライザのゴールド化はp-fの幅が総銀よりも広がるような気がします。音色に目をつぶれば、ライザのゴールド化はおもしろいかもしれません。

 リッププレートや反射板までゴールドにすると、かなりゴールドっぽい雰囲気になります。パワー系の人には、この“一部ゴールド化”は良いかもね。吹奏楽で、この一部ゴールド化したフルートを吹いている子を時々見かけますが、それは案外、正しい選択かもしれません。吹奏楽でソロを吹くなら、ミヤザワの一部ゴールド化フルートは、ありうる選択でしょう。
 
 
 パウエルにはオーラマイトという合金を使ったフルートがあります。特に、外側がゴールド(9K)で内側がシルバーと言うのは、なかなか魅力的なフルートですよね。

 さっそく吹いてみました。やはり、音色は、銀とも金とも言えない音色でした。マテキのG10にも通じる、摩訶不思議な音がしました。吹き込むと癖になるかも(笑)。

 でも、なんか吹きづらい。パウエルは複数の頭部管があるので、念のためにどの頭部管なのか確認したら、これはフィルハーモニーだったそうです。以前、新宿でパウエルの吹き比べをやった時は、フィルハーモニーが一番しっくり来た私でしたが、今はなんか違和感を感じます。率直に「これは吹きづらいので、別の頭部巻で試したいです」と言ったら、ヴェンティを試させてくれました。確かにヴェンティは楽に吹けますが、なんか面白くないです。そう言ったら、次はフィジョーネにしてくれました。これも楽に吹けるし、音色的にも私好みかな? ちょっとウキウキしていたら、もう一つありますが…というわけで、ソロイストも吹いてみました。ちなみにソロイストを吹くのは、始めてかもしれません。

 ソロイストは…すごくいいです。音色もいいし、コントロールもしやすいし、何より反応が早い。p-fの幅はイデアルに負けるけれど、頭部管の反応はピカイチですね。これなら、十分アリですよ。ソロイストの頭部管のオーラマイトはアリかもしれません。
 
 
 ひとまず、色々と気になるフルートを吹いてみました。ヤマハのイデアルはいいですね。パウエルのオーラマイトも悪くないです。でも、結果的には『私のアゲハが一番良い』って事を確認しました。いやあ、色々と欠点はあるけれど、総合点では、イデアルよりもオーラマイトよりもアゲハですよ。

 そりゃあ、確かに、p-fの幅は、イデアルにはかないません。音量ならば、イデアルにもオーラマイトにも及びません。コントロールのしやすさだって、イデアルにもオーラマイトにも負けます。でも、アゲハは、これら二つの楽器よりも、圧倒的に音色がいいんです。つまり、難しいけれど美しい音色の笛なんですよ。ああ、やっぱり、こいつは“ツンデレ”だな(笑)。

 ただ、勘違いしてもらっては困るのは、アゲハは、アルタス1307だけれど、新品の1307が比較相手なら、1307ではなく、イデアルやオーラマイトの方を私はチョイスします。つまり、アゲハは1307だけれど、新品の1307よりもずっと美しい音色のフルートだという事です。

 同じアルタス1307と言っても、個体差はあるわけだし(フルートって、楽器の中でも個体差の大きな楽器だと私は思います)、私とアゲハとの付き合いの長さ故、私はアゲハからかなり良い音色を引き出せるようになっているだろうし、アゲハも毎日息を入れられて、よく鳴る笛に成長してきたって事もあります。それに、アゲハは管体の内部が銀色ではなく、実にブルーブラックになってきてます。中がピカピカの新品さんとは、年季の入り方が違うのだよ(笑)。そういう意味で、アゲハは“硫化銀メッキの総銀フルート”って言えるかもしれません。“硫化銀メッキの総銀フルート”はなかなか良い音色ですよ。

 そんなこんなで、アゲハは、アルタス1307だけれど、そんちょそこらの1307とは、1307が違う…んですよ。

 ま、そんなわけで、美しい声を持っているアゲハだけれど、やっぱり吹き鳴らすには難しいフルートです。あまりの難しさに、時々泣かされる事もあるくらいです。コーチとしては、かなり厳しいコーチです。

 ですから、イデアルやパウエルの鳴らしやすさには心ひかれます。ツンデレ彼女に振り回されるのに疲れて、思わず、癒し系女子に心がフラフラ〜っていう状況なのかもしれません。

 特にp-fの幅の広いイデアルには、心を強く惹かれます。でも、音色で言えば、アゲハの方が全然、私好みなんですよね。音色とコントロールのしやすさを天秤にかけるなら、やはり音色をチョイスしちゃうのが、私なんです。

 だって、フルートって、音色がすべてでしょ? つまり、癒し系女子よりも、優しい瞬間のツンデレ彼女をチョイスしちゃうって事です。

 でもでも、もしも次のフルート、ずばり、9K前後のゴールドフルートを買う事になったら、ムラマツではなく、ヤマハのイデアルの9Kを買うかもネ。今のところのチョイスでは、そういう事です。え? アルタスの9Kは候補に無いのかって? はい、無いんですよ。と言うのも、残念な事に、アルタスには9Kのモデルがないし、注文も受け付けてくれないんです。つまり、私の次のフルートに、9K縛りがある以上、私の次のフルートの候補には、アルタスは入らないって事ね。ちょっと残念です。

 でも、アルタスの9Kなんてあったら、ツンデレの“ツン”がすごい事になっていそうで、それはそれで、おっかないなあ(笑)。

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