2017年01月20日

残念だけれど、仕事が無いんだから仕方ないのです

 フルートのレッスンに行ってきました。今年始めてのレッスンでございます。

 まあ、レッスンの内容は、例によって例のごとしで、先生と姉様と三人でロングトーン練習をやりました。姉様のフルートが低音がうまく出ないという事で、先生がフルートを見たところ、要調整というわけで、姉様は正月早々の出費が決定しました。

 さて私は…と言うと、お正月はちびっと練習しましたが、なかなか根を詰めて練習をするというところまでは至らず、なんとも中途半端な状態でレッスンに臨んでしまいました。

 エルステ・ユーブンゲン19番の出来は8割程度かな。暗譜もほぼ出来ていますが、ところどころ抜けてしまうのてす。なので、抜けた所にくると、一瞬止まってしまって考えてしまうので、まだまだ全部を通せません。不合格です。ちなみに20番は、楽譜さえ見ることができれば、普通に吹けています。

 プチエチュードは不合格だったのだけれど、前回よりもだいぶミスが減ってきました。それでも、全体で3〜4回ほど演奏が止まってしまったので、合格にはまだまだです。あとは、止まらずに演奏できるようになる事と、スラーをもっと厳密に演奏する事(そのためには、息の保持が大切なのですが…息切れがして途中で2度もブレスをしてしまいます。それがダメなんですね…)。それでやっと合格だそうです。頑張ろう。

 で、レッスンはほどほどに、後は箱根駅伝の話をしましたが、それはカット。

 駅伝の話から、国家試験の話に飛びました(なぜ?)。先生の持論として、プロというモノは自分で勝手に名乗って良いものではなく、一定の力量を持った者だけが名乗る事が許される存在であり、そのために音楽家に“プロ資格”というのモノを是非作るべきであり、作るなら国家資格にするべきだ…と言うのです。

 先生の念頭にあるのは、ドイツの『国家演奏家資格』なんだろうと思います。それを日本にも導入しろ…と、簡単に言っちゃえば、そういう事なんです。

 先生に聞いた所、ドイツでは、音楽家という職業に就くためには、この『国家演奏家資格』が必要であり、それがないと“アマチュアに毛の生えた人”という扱いになり、プロ扱いはされない、あるいは自称プロであるなら“二流のプロ扱い”なんだそうです。

 ちなみにドイツの場合『国家演奏家資格』を得るには、ドイツの音楽学校の大学院を修了するか、そのための資格試験に合格しないとダメなんだそうです。どちらにしても、かなり難易度の高い試験のようで、音大卒程度では到底無理難題な試験で、そう簡単には取れないみたいです。(ちなみにH先生はドイツの大学院を修了しているので、この『国家演奏者資格』を持っているんだそうです)

 つまり「音大出た程度でプロと名乗るなんて、おかしいでしょ!」って言いたいみたいなんです。

 と言うのも、フルート業界は、フルートで音大を卒業した人が多くて多くて、仕事の数よりも人間の数の方が多いんだそうです。

 ある程度の地位と名声をすでに得ている人は問題ないのですが、問題は、これからキャリアを積んで名前を売っていかないといけない、夢も将来もある新人たちなんだそうです。

 海外に留学をして、高い演奏力を身につけた人であっても、日本でフルートの仕事を得るのは、なかなか難しいのだそうです。と言うのも、日本で音楽の仕事を得るには、演奏力以外の能力(察してください)が、かなり必要で、留学経験があるとか、演奏が上手いとか言う程度では仕事を得ることができず、むしろ演奏力に難のある人であっても、あれこれ条件が揃えば音楽関係の職に就いてしまい、結果として、有能で優秀な若い演奏家たちが仕事からあぶれてしまう…という現実があるのだそうです。

 日本では“音大卒業”が一種のプロ免許みたいな役割を果たしていますが…音大卒業程度じゃまだまだ足りない。もっと高度な演奏力を備えている事を証明する資格が必要だ。そして、その資格を持っていないと音楽の仕事にありつけないようにすれば、業界全体のレベルも向上する…と、先生は考えていらっしゃるようなのです。

 なにしろ音大もピンキリだし、卒業生のレベルもピンキリなのです。音大のピアノ科を卒業しながら、ロクにピアノの弾けないプロのピアノ奏者を私は数名知ってます。低技術のためギャラが格安で、仕事内容によっては、それでも十分なので、発注する事もあります。おそらくフルート業界も似たような感じなのでしょうね、それが現実です。

 実際に、H先生のお弟子さんの中には、素晴らしい学歴と留学歴に加えて卓越した演奏力を兼ね備えている若手の演奏家さんたちがウジャウジャいますが、彼女たちの仕事の状況と言うのは…確かに厳しいです。私などが傍から見ていても可哀想に思ってしまうくらいに厳しい状況にある事が分かりますので、先生のおっしゃることも理解はできますが…。

 …でもね、悪貨は良貨を駆逐するって言うじゃない。同じ“音大卒”なら、安く使える子を雇いたいよね。なまじ留学してたり、なんとかコンクールのなんとか賞を持っているような子だと、あんまり安く雇えないからなあ…。それよりは、必要な演奏技量をクリアしていれば、親がかりの子だったり、亭主持ちだったり、別の本業を持っていたりして、安い謝礼で働いてくれる子を優先しちゃうよね。

 先生のお弟子さんたちを思う気持ちは分かるけれど、一人の社会人として“人を雇う”という観点から見ると、技術的な最低条件さえクリアしていれば、後はなるべく安く使える人材の方がいいのです。正直「安かろう悪かろう」であっても、それで間に合えば、それで良いのです。オーバースペックの予算オーバーでは困るのです。

 そういう意味では、モノホンの演奏家志望は、音楽事務所に入って、高度な演奏力を必要とする演奏の仕事をする以外使いようがないと思うのです。そんな人が、たとえそれが音楽周辺事業であったり、先生業であったりしても、演奏力が直接必要とされない仕事ならば、そりゃあ人気ないよなあ…と言いたくなります。かと言って、音楽事務所に入るには、それなりの仕事の実績がないと難しいので、全くの新人だと、ほんと厳しいと思います。

 だから先生のおっしゃる「演奏家に国家資格を!」と言うのは、理想としては分かります。そういう資格があったら、音楽事務所側も安心して若い音楽家に仕事の発注ができますからね。ただ、音楽の仕事全般に、そんな国家資格が必要となったら、それは困ります。人を雇う側からすると、有資格者は人件費が高いわけだし、そんな有資格者しか雇えないとなると、経費が増えるわけで、商売をする上で、それは避けたいのが本音です。

 だから先生のおっしゃるような、演奏家の国家資格と言うのは、我が国では作られないでしょうね。現状、音大卒という資格で十分なのです。

 優秀な人が食えない業界と言うのは、どうかと思うけれど、所詮、我が国では、音楽で食えるのは、ほんの一握りの恵まれた人たちばかりなのです。残念だけれど、仕事が無いんだから仕方ないのです。

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