ネットを読んでいると「楽譜が読めない」という悩みをお持ちの方が大勢いらっしゃいます。まあ、私だって程度の差こそあれ、読める部類には入らないかな…?って思ってます。単旋律の簡単な楽譜を見て初見で歌うくらいはできますが(つまり、声楽やフルートの譜なら、かろうじて読めるって程度ね)、それだってちょっと込み入ってくると初見では厳しいし、楽器やメトロノームの助けが必要になってくる事もあります。また、ピアノやオルガンのような二段譜とか、合唱とか弦楽四重奏とかオーケストラなどの多段譜は全く手が出ません。だいたいヘ音記号なんて全然読めないし…。
で、それで困っているかと言えば、特に今のところ困っていません。だから、とりあえず、今の程度楽譜が読めれば、まあいいかと思ってます。
要するに、私の場合、その程度、楽譜が読めれば困らないし、逆に言えば、その程度の楽譜が読めないと困るのです。困るので、そこまでの読譜力が身についた…とも言えます。
なので、楽譜が読めないとお悩みの方は、今、楽譜が読めない事で何が困っているのかを考えてみる必要があります。
と言うのも、音楽の種類によっては、必ずしも楽譜が読めないとダメなんて事は無いからです。楽譜が読めないと困る音楽もあれば、楽譜不要の音楽だってあるわけで、自分がやっている音楽ばどちらなのか? また読めなきゃいけないにしても、全員オーケストラ譜が読める必要は無いのですから、どんな楽譜をどの程度まで読めなきゃいけないのか、そこの見極めが肝心です。
ざっくり言っちゃえば、楽譜が読めないと困るのは、クラシック系の器楽曲と、学校の音楽の授業ぐらいでしょ? クラシック音楽でも歌系だと(プロでも)口移しで勉強している人は(特に海外だと)たくさんいるようです。国内国外問わず、アマチュアだと、相当多数の人は音楽を耳で覚えるんじゃないかしら。ならば、楽譜はそんなに読めなくても困りません。ポピュラー音楽の人は、原則、楽譜は使わないので、読める必要はありません(読めないよりは読めた方が便利とは言えます)。
何はともあれ、読めなければいけない楽譜は読めるようにしましょう。でも、読めなくても良い難しい楽譜を読めるようなるために時間をかけて勉強する必要があるなら、人生は有限なのだから、その分の時間を別の事に使う方が良い…と私は考えます。
できなきゃいけない事をきちんとできるようにする。楽譜を読むことだって同様です。必要ならば、きちんと勉強して楽譜を読めるようにする。読めなくても困らないなら、別に焦る必要はありません。それでいいじゃん。
実際、ポピュラー音楽だと、一流のプロでも楽譜が読めない人ってたくさんいます。だって、読める必要がないもの。
有名な話ですが、ビートルズの元メンバーであるポール・マッカートニーは、楽譜の読み書きが出来ないので、オーケストラから依頼があって、オラトリオを作曲した時に、彼は音楽を作る事はできるけれど、それをオーケストラの人たちが演奏できるような楽譜に書くことは出来ませんでした。なぜなら、彼は作曲した曲を、クチ三味線でメンバーに伝えてバンドサウンドを作っていたからです(ポピュラー音楽ではごく普通の事です)。
ですから、ポールが作った音楽をオーケストラの人に分かるように楽譜に書き起こす必要がありました。そこでポールは、自分の音楽を楽譜に書く係として、クラシック系の作曲家であるカール・デイヴィスにお願いして作業を始めたら、完成した時には、いつのまにか共作者になっていたんだそうです。ポール曰く「彼は私の音楽を書き留めただけ」なのに、共作者として分前の半分を持っていってしまったわけで「ビジネストラブルが生じた」んだそうです。
それに懲りたポールが、次作以降のクラシック作品の作曲では、他人と一緒に仕事をしない事にしたんだそうです。じゃあ、ポールは楽譜の読み書きを勉強したのかと言えば、答えはNOで、彼はその後は、ピアノとコンピューターを繋いで、彼がピアノで弾いたフレーズをコンピューターが楽譜に起こして、出来上がった楽譜を、コンピューターが音にしたものを聞いて修正するという手法でクラシック系の曲を作曲するようにしたのだそうです。そんなやり方で、ポール・マッカートニーは、数曲のクラシック系のピアノ曲やオーケストラ曲を作曲しているわけです。
今では、クラシック系の音楽も普通に作曲しちゃうポール・マッカートニーだけれど、彼はいまだに楽譜の読み書きはできないんだそうです。だって、出来る必要がないんだからね。
彼のような例もあるわけだから、必要最低限の楽譜が読めることは必要だろうけれど、それ以上は不要であると私は考えるわけです。
実際、私が簡単な単旋律の楽譜が読めるようになったのは、必要にかられてです。
歌しか歌っていなかった頃は、ほとんど楽譜は読めませんでした。だって、歌は耳コピーで勉強できるからね。きちんと楽譜が読めなくてもなんとかなりました。しかし、フルートは違います。フルートを耳コピーで演奏するのは、私には難しいです。やはり楽譜を頼りに演奏するしかないわけで、そうなってくると、必然的に楽譜が読めるようになってくるわけです。
また、今やっているフルートのレッスンのうち、エルステユーブンゲンの学習は、このテキストを学ぶ事で自然と楽譜が読めるようになるので、それで私の読譜力が上がってきたというのもあります。
なので、楽譜が読めないとお嘆きの方は、本当に楽譜が読めないと困るのか、もし困っているのなら、困っているのに読めないのはなぜか?…と考える必要があるわけです。
実は楽譜が読めない事がコンプレックスであるけれど、でも読めない事で困っていないのなら…おそらく楽譜が読めるようにはならないと思います。楽譜が読めないと困る人…例えば、吹奏楽とかアマオケとかをやっている人は、すでに楽譜は読めるだろうから、楽譜が読めない事で悩む事なんて、ありえないと思うわけです。
つまり楽譜が読めないと悩んでいる段階で…まあ、楽譜は読めないよりは読めた方が良いに決まってますが…楽譜が読めなくても、何とかなっているんだと思います。
特に歌関係は、音源を聞いたり、音取りCDなどの世話になれば、楽譜はちゃんと読めなくても何とかなりますからね。何とかなっているなら、それでいいじゃんと私は考えます。また、ポピュラー音楽系の人は、基本(プロでも)耳コピーですから、楽譜が読めないと悩む時間があったら、耳コピーの精度を上げる方が大切だろうと大切だと思うわけです。
結論 楽譜が読めないと悩むのはやめよう。読めないのは、読めなくても困っていないからです。もし本当に楽譜が読めないと困るのなら、とっくの昔に、楽譜は読めるようになっているはずだからです。
でしょ?
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posted by stone at 03:30|
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