2017年12月08日

アンブシュアについて悩む人が多いのだけれど…

 一般的に、フルートは簡単な楽器だと言われています。何を以て簡単だと言ってよいかという部分については、議論の余地はあると思います。しかし、単旋律用の楽器である事。ト音記号の世界の楽器である事。移調楽器ではない事。メカシステムの完成度が高く、奇妙な運指がない事。軽量であり持ち運びに便利である上に、音量も小さいので、どこでも練習できる事、などから考えても、比較的演奏が簡単な楽器と言われても仕方ありません。

 しかし、いくら簡単だと言われても、あくまでも“比較的”簡単なだけで、リコーダーやハーモニカやオカリナのような教育楽器ほどは簡単ではありません。

 フルートの場合、あえてどこが難しいのか言えば“音を出す”と言った、基礎の基礎の部分が難しいです。つまり、一番最初が一番難しかったりします。逆に言っちゃえば、ここを乗り越えちゃうと、後はさほど難しくないとも言えます。また、音出しに苦労しない人だと、どこも難しい事がない楽器だったりするんです。

 さて、フルートの音が出ない理由には、実は様々な要因が絡んできます。呼気圧や腹圧の問題、楽器の構え方の問題、そしてクチビルのカタチの問題…つまり、アンブシュアの問題があります。

 初心者の頃って、音が出ない人は本当に出ません。いくら頑張っても出ません、出ないものは出ません。私の知り合いのピアニストさんは、学生の時、副科でフルートを学んだのだそうですが、親にねだってムラマツを購入してもらったところまでは良かったのだけれど、全然音が出なくて、毎日毎日フルートの練習をするのだけれど、全然出なくて、友人や教授にも散々教わったのだけれど、本当に出なくて、それでようやく「ピヤ〜」って鳴り始めたのが夏休みを終えて、すでに授業が後期に入った頃だったそうです。音さえ出てくれるようになれば、後は楽なもので、あっという間にフルートを普通に吹けるようになったのだそうだけれど、音大生ですら、フルートの音が出せない人はいるわけだし、音が出せなきゃ、何もできないわけです。

 だから、趣味のオジサンオバサンがフルートを始めて、最初の音出しの段階で、さんざん苦労するのは、まあ、当たり前と言っちゃあ当たり前なのです。当然と言っちゃあ当然なのです。逆に言えば、たいていの人は、音出しで苦労すると思って、間違いないのです。

 で、そんな音出しに苦労する初心者の皆さんが、その原因として、最初に着手するのが、アンブシュアの問題なのです。クチビルをどんなふうにしてフルートにあてるのか…そんな事に悩むわけです。で、その結果、ネットのフルート情報のページには、アンブシュアに関する記事があちらこちらにあるわけです。

 でもね、そんなにアンブシュアって大切なのかな? プロのフルート奏者の口元を見ると、皆さん、それぞれだし、決まりきったやり方なんて無さそうじゃない? 中には、斜めにフルートを構えていたり、クチを尖らせて吹いていたり、ほんと、色々です。ちなみに、私はインコのクチをしてフルートを吹いてます(笑)。

 でも、ネットに書かれているアンブシュアのページを見てみると、理想的なアンブシュアは…クチビルを閉じて、軽く横に引っ張り、息を吹き出す勢いでクチビルを開ける。その息が通る大きさは細めのストロー程度が良い…なんて書いてあったりなかったりするわけです。

 でも、そんな事、誰がやっている? 案外、みんな、思い思いのスタイルでフルートを吹いているわけで、そんな理想なアンブシュアなんてしてないよ。少なくとも私はやっていないし、H門下の人もやってません。みんな、フルートを手に持って、無造作にクチビルに当てて、息を吹き込んで吹いてます。何か特別な事はしていません。

 それでも吹けちゃうのがフルート…なんだと思います。

 まあ、アンブシュアは大切だけれど、音出しに関しては、一番大切とは言えないのだろうと、私は思います。

 では、音出しに一番大切なのは…おそらく腹圧だろうと思います。

 初心者の頃は、とにかく腹圧が弱いのです。腹圧が弱いので、呼気圧が弱くなり、呼気圧が弱いので、クチビルであれこれしようとしてしまい、結果、アンブシュアにこだわるわけです。

 いわば、腹圧の弱さをクチビルでカバーしようとしているだけで、やっている事は邪道も良いところなのです。

 と言う訳で、音出しで一番大切なのは腹圧です。言葉を変えて言えば、腹筋です。だから、腹筋がある程度強くなり、腹圧が強くなれば、アンブシュアを気にせずとも、自然とフルートの音が楽に出るようになるわけです。

 では、腹圧を強くし、腹筋を鍛えるには、どうしたら良いのか?

 少なくとも、体育会系の人がよくやっている腹筋運動は、あまり効果が無いと思います。と言うのも、腹筋を動かすと言っても、ちょっと動かす方向が違うからです。

 フルートを吹くための筋肉を鍛えるために一番の近道は、フルートを吹くことです。フルートを吹いて吹いて吹きまくって、カラダをフルートを吹く人のカラダに作り変える事です。

 そうすると、簡単にフルートの音出しができるようになります。

 なので、フルートの音が出なくて悩んでいる人は、アンブシュアをあれこれいじるよりも、ひたすらフルートを吹いて、早く自分のカラダをフルーティストのカラダにしてしまう方が現実的だと、私は思うわけです。

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posted by stone at 03:30| Comment(2) | フルートのエッセイ