2020年02月17日

新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」を見てきた

 …とは言っても、生の舞台ではなく、ディレイビューイングと銘打たれた映画版の方です。ひとまず見てきたのは前編(つまり昼の部の公演です)で、後編(夜の部だね)は、また後日上映されます。

 舞台の方は昨年の12月に新橋演舞場でやっていわけで、それを二ヶ月後に映画にして全国興行しちゃうわけで、なかなかに貪欲な演目となっております。年末年始に、テレビ番組でも特番が組まれ、本格的にプッシュしていた事もあり、興味津々な方もいらっしゃるとは思います。

 で、私が見てきた感想ですが、ひとことで言っちゃえば「これもアリ」だと思いました。ただし、ジブリに思い入れのある人は見ない方が良いかもね。あくまでも新作歌舞伎としてはアリだけれど、ジブリ作品としては微妙…ってか、私的には無しだなって思いました。だって、まるで見た目が違いすぎるんだもの。はっきり言って、ゲテモノです。

 なので、こいつを見る前に、頭の中から“ジブリ”を取っ払う必要があります。それが出来れば、時代劇だけれど無国籍でファンタジーなお話を楽しめると思います。とどのつまり、これは、歌舞伎はまあまあ知っていて、だけどジブリとかナウシカとかをよく知らない人ほど楽しめる作りとなっています。つまり、歌舞伎ファン(それも初心者)向けの演目であって、ジブリとかナウシカファンには、ちょいと厳しい感じになっております。

 ちなみに、全7幕の通し狂言として作られていますが、元々のジブリ映画に相当する内容は、最初の序幕(第1幕)の部分だけで、二幕目以降は、ジブリ映画の続編となっています。そういう意味では、ナウシカ初の完全映像版とも言えるでしょう。

 私個人はなかなか楽しめたし、気にも入りましたし、後編も見に行くつもりですが、ほんと、これは見る人を大いに選ぶ演目だと思います。誰にでも気軽に薦められるってモンじゃないと思いました。

 例えば、歌舞伎だから、女性の役も男性の俳優がやっているわけで、ナウシカもクシャナ姫も男性の俳優がやっている(女形ってヤツだね)わけで、まあ、一般人にとっては、そこが鑑賞的に最初のハードルかもしれませんね。いくら歌舞伎役者とは言っても、女形と言っても、ナウシカの“萌え”は表現しきれませんからね…。アニメオタクにとって、萌えないナウシカなんて、ありえないでしょ?

 ジブリ映画、とりわけ宮崎映画に顕著なダイナミックな映像美ってヤツと、歌舞伎の持つ様式美ってヤツは、まさに水と油ってヤツで、ジブリ映画の魅力ってのは、ストーリー半分、カメラワーク半分だと私は思ってますが、舞台にしてしまうと、そのカメラワークの魅力が削がれちゃうわけで、ジブリ的な鑑賞眼を以て、この公演を見ると、退屈に感じるかもしれません。

 その代わり、冒険活劇的な視覚効果の少ない分、ストーリーの方はだいぶ分かりやすく表現されていると思いました。とにかく、映像の力に頼れない分、説明セリフが多くて、それは演劇的にはどうなの?と思わないでもないですが、観客的にはセリフで状況を説明してもらえるのは、親切かもしれません。ストーリーを追いかける分には特に問題はありません。

 ディープな歌舞伎ファンがこれを見た時、どんな感想をお持ちになるのかな? その点を大いに知りたい私でありました。

蛇足 王蟲の声は市川中車(香川照之)なんだけれど、私にとっては、どうにもこうにも“カマキリ先生”なんだね。まあ、カマキリ先生が王蟲ってのも、アリっちゃあアリなんだけれどサ(笑)。

蛇足2 10月にはシネマ歌舞伎で、三谷幸喜の脚本と演出で、みなもと太郎の「風雲児たち」をやるそうな。今から楽しみ。

蛇足3 歌舞伎界の新しい試み繋がりで、ETVで放送された超歌舞伎「今昔饗宴千本桜」を見ました。こちらは中村獅童と初音ミクの共演というので話題になったヤツですね。頑張ってますね、面白いかと言われると微妙ですが…。これを見て分かったのは「風の谷のナウシカ」は、とてもとても頑張っているって事です。完成度高かったんだなあ…。

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posted by stone at 04:00| Comment(0) | 歌舞伎