2020年11月23日

これがコロナ対策済みのオペラ公演だ!

 まず、オペラ公演(「カルメン」)をネットで公開している藤原歌劇団に感謝です。

 感謝をした上で「これでいいの?」って、私は言います(エラそうでごめんなさい)。

 実はこの公演、以前書いた、コロナ対策済みの大学オペラと会場も同じなら、上演(演出)方針も同じなのです。違うのは、演目と歌手の力量ってところでしょうか。あと、学生オペラでは、舞台上にアクリル板はありませんでしたが、こちらの公演では、数枚の車輪付きのアクリル板が舞台上にあって、歌手のみなさんが、それらを動かしながら、相手役との間にそれを挟んで、割と近距離で歌い合うシーンが多々ありました。学生オペラではアクリル板を使わなかったので、歌手と歌手が必ず距離をとって歌っていましたが、アクリル板があるために、歌手同士がアクリル板を挟んで、近距離でも歌えるようにしたのは、より良い演出かもなあ…って思いました。

 でも、アクリル板が舞台にあって、歌手の皆さんがそれを動かしながら歌って演技するのは、やっぱり変だよね。シラケちゃいます。

 学生オペラとの違いを書いてみます。

 まず、フェイスガードが声に与える影響が違いました。これは、学生とプロの違いのせいかもしれませんし、生の舞台と配信(つまり録音)の違いかもしれません。生で見た学生オペラでは、フェイスガード越しの声が不快でたまりませんでしたが、この配信ではフェイスガードが声に与える影響は無視してよい程度でした。ただ、オペラの登場人物がフェイスガードを着けている姿は、やっぱり変だよね。オペラへの没入が妨げられます。

 衣装に関しては、兵隊さんだけは軍服のような衣装を付けていましたが、その他は黒一色の衣装でした。学生オペラは自前の服のようでしたが、こちらは一応、衣装のようですが…あまり衣装を着ている意味は無い感じで、印象的には学生オペラとどっこいどっこいだなって感じました。オペラって衣装が大切ですよ、衣装を簡略化して良いのは、衣装に頼らない演技力のある俳優ぐらいなもので、歌手の皆さんの演技って…ねえ。

 で、その演技…ってか芝居に関しては、上手下手はともかくとして、皆さん、かなりきちんとやっていたように思います。アクリル板を巧みに使って近距離での芝居もこなしていましたが、だからそこアクリル板が邪魔くさいです。学生オペラの遠距離演技もどうかと思いますが、アクリル板を使用しての演技も同じくらいにシラケるものです。きちんと演技をしていただけに、ほんと残念です。

 大道具に関しては…使っていなかったような気がします。気がします…というのも、私、この配信は第一幕しか見てないんですよ。だって、つまんないだもの(ごめんなさい)。今までも配信のオペラっていくつか見てきたし、だいたい配信されるくらいだから、みんな面白くて、ワクワクしながら最後まで見ていたのだけれど、この公演は、なんかあっちこっちシラケちゃって「もういいや」って気分になってしまいました。学生オペラもかなり早い段階でシラケちゃったのだけれど、あっちは生の舞台なので逃げられなくて、最後まで見ちゃいましたが、配信オペラの場合、気が散ったら、他の番組に逃げられちゃうよね。

 歌劇団関係者の皆さんの努力はよく分かるのですが、ここまでしてまで、オペラって上演しないといけないものなの? というのが、正直な私の気持ちなのです。

 大学オペラは、学生にとっての学習の場ですから、何が何でも毎年行わないといけないのは理解しますし、そのために、あっちこっち妥協してでもやらないといけない学校行事であるわけです。

 でも、プロのオペラカンパニーの公演は、学生たちのそれとは違うわけです。

 感染の危険性が排除できず怖くてたまらないのならば、勇気を持って中止するべきだし、危険を乗り越えてオペラ公演を行うと決めたのなら、プロとして万全のものを見せるべきです。今回の公演だって、万全な形のものなら、きっと面白いだろうし、私も最後まで見たと思います。私が見てきた、藤原歌劇団のオペラ公演って、いつだって面白くて感動的な舞台だったもの。今回だって、本来ならそうだったはずです。

 先日見た、帝国劇場のミュージカルと比べると、プロとしての覚悟が違うなあって思いました。コロナは怖いけれど、プロの舞台人である以上、万全のものを歌い演じるのがプロであって、ミュージカルの人たちと比べると、オペラの人たちには(生意気言ってごめんなさい)甘えがあるような気がします。素人や、素人に毛の生えたような学生さんたちのオペラなら(私は好みませんが)コロナ対策のオペラもアリだと思いますが、プロの公演がこれではガッカリです。

 そう思うと、ミュージカルの人たちのプロ根性には、改めて敬服します。無論、出演者並びにスタッフ全員に定期的にPCR検査等をして安全を確認しながらの公演だろうけれど、いやあ、それにしたって、あの人たちの覚悟は、凄いんだなあって思います。尊敬しちゃいますよ。

 まあだからと言って、オペラの人たちがミュージカルの人たちを見習う必要はありません。歌芝居という共通点はあるものの、やはりあれこれ違うわけで、決して同じ土俵にあるものではないと思ってます。今年のバイロイトは勇気をもって中止したわけから、万全な形でのオペラ公演はまだまだ無理なのかもしれません。または今年のザルツブルグのような形で公演することも可能です。あの程度の簡略化なら私も受け入れられます。とにかく、フェイスガードとかアクリル板とかオーケストラを舞台に乗せるとかは、ほんとに見ていてシラケてしまうので止めたほうが良いです。あと、日本のオペラは演技力に不足がありありなんだから衣装もきちんと身につけたほうが良いです(ヨーロッパの真似をするには全般的に演技力が不足していると思います)。

 今回、「カルメン」を配信してくださった事には感謝していますが、この手のオペラを、生の舞台を高いチケットを購入して見に行くかと言われると、悩みますね。少なくとも、コロナ仕様のオペラ上演の形を取り続ける限りは、ちょっとパスかな? だってシラケてしまって途中で帰りたくなるような舞台に高いチケット代は支払えないよ。でしょ? 安価なら、目をつぶって演奏だけを聞くという事もありですがね…。いっその事を、演奏会形式での上演にしてくれたら、こちらも割り切れていいのですが…ねえ。

 今後、コロナが無くなることなんて、たぶん無いよ。ワクチンが開発されたって、巷からウィルスが無くなるわけじゃあ無いんだらね。私なんか、毎年毎年インフルエンザのワクチンを注射しているけれど、世間からインフルエンザが無くなるわけはないわけで、新型コロナのワクチンが開発されて、みんながみんな、ワクチン接種をしたとしても、それでもコロナは無くならないし、感染者はこれからもずっとずっと出続けます。

 オペラの人たちは、いつまでこんな事をし続けていくつもりなのかしらね? まあ、我々オペラファンは、生の舞台を見るのを止めて、過去の映像を見ればいいんだから、問題ないと言えば、問題ないんだけれど…ね。でも、できれば、生の舞台も見たいよね。

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posted by stone at 04:00| Comment(0) | 歌劇