2019年12月16日

フィッシャー=ディースカウを知らないなんて、私もモグリだな

 声楽のレッスンに行ってきました。

 まずはハミング練習からです。声を直に前に出さないように言われました。そのために、もっとクチの奥を開くように注意されました。

 次は発声練習です。出ないほどの高音になったら、素直に諦める事が大切です。出そうもないからと言って、無理矢理に力づくで声を出すのは、一番ダメなやり方です。声は常に、開いて伸ばして支えて出す。それで出なければ、素直に諦める。力づくの声で歌うぐらいならば、声がひっくり返ってしまった方がマシなのです。どうも、私は声をひっくり返す事を無意識で回避してしまう傾向があり、ちょっとでも声が不安定になると、ノドに力が入って無理矢理に声を出そうとしてしまうようなのです。まだまだダメなんだな。

 さて、久しぶりのシューベルトです。「美しき水車小屋の娘」の2曲目の「Wohin?/どこへ?」です。

 まず注意されたのは、シューベルトの歌曲は、ヴェルディのアリアのような歌い方で歌ってはいけませんという事です。スタイルが違うんです。イタリアオペラにはイタリアオペラのスタイルがあり、ドイツ歌曲にはドイツ歌曲のスタイルがあるのです。それぞれの曲にふさわしいスタイルで歌うのが当然だし、それを尊重するべきなのです。

 もちろん、ドイツ歌曲をイタリアオペラ風に歌うというやり方がないわけではありませんが、今の私はドイツ歌曲を学んでいるわけですから、学びの過程では、ドイツ歌曲を学ぶと同時に、ドイツ歌曲のスタイルも学んでいるわけですから、好き嫌いは関係なく、ドイツスタイルで歌曲を歌えるようにしないといけません。

 イタリアオペラとドイツ歌曲のスタイルの違いを簡単に言えば、豪快さと繊細さなんです。イタリアオペラは豪快なんです。派手なんです、パワフルなんで、声をみせびらかすのです。一方、ドイツ歌曲は繊細なんです。緻密なんです、優雅なんです、語るように歌うのです。

 ちなみに、私を含めて、一般的にテノール歌手は(プロ・アマ問わず)ドイツ歌曲を歌い過ぎる傾向があるそうです。ドイツ生まれのドイツ人歌手がそれをやるならば、良しとされるのかもしれないけれど、日本人歌手が日本でドイツ歌曲を歌うならば、歌い過ぎは良くは受け取られないのです。日本人歌手が日本でドイツ歌曲を歌うならば、語るように歌わないと、ドイツ歌曲を歌ったとは思われないのです。

 …まあ、客の側の立場になった時、その感覚は分からないでもないです。それが正しいのかどうかは私には分かりませんが、たしかにそういう傾向がある事は、なんとなく感じます。

 そのために、歌い過ぎずに、もっと語りの方に足を突っ込んで歌うようにしないといけないのです。

 その際にお手本となる歌唱が…日本のクラオタなら誰もが大好きな、フィッシャー=ディースカウの歌唱なんだそうです。逆な言い方をすれば、日本においてドイツ歌曲を歌うならば、フィッシャー=ディースカウのスタイルで歌わないと、許されないというわけです。

 フルトヴェングラーの「第九」とフィッシャー=ディースカウの「シューベルト歌曲」は、日本じゃスタンダード…と言うか、ほぼ憲法みたいなもんだもんなあ…。

 という訳で、私はこの曲をフィッシャー=ディースカウがどう歌っているのかを思い出そうとしましたが…全然思い出せませんでした。そりゃあ思い出せないはずです。私、フィッシャー=ディースカウのディスクは結構持っておりますが「美しき水車小屋の娘」だけは持っていないし、聞いた事無いんですね。おそらく「“水車小屋”はテノールの曲だからなあ…」とでも思って、フィッシャー=ディースカウに限らず、バリトンさんの歌唱は避けたんだと思います。

 勉強のためです。さっそく購入しました。


 聞いてみましたよ。で、正直に告白すると、私、フィッシャー=ディースカウとムーアの共演盤が二種類あるとは知らなかったのよ(汗)。なので、私が購入したのは、有名じゃない方の録音です。これから買う人は、以下の方が定番なので、こちらをおすすめです。


 ちなみにYou Tubeの音源的に言えば、これ(有名じゃない方ね)になります。


 そうね、こういう風に歌うのが理想なんだね。確かに私がイメージし志向する歌とは全然違います。そりゃあ注意もされるよね。ただ、フィッシャー=ディースカウは、昔のドイツ語で歌っているよね。たぶん、多くの日本人も古いドイツ語で歌うから、この音源が参考になるんだろうけれど、私は今のドイツ語で歌っているから、あっちこっち発音が違うんだよなあ。そこらへんが私の私の課題かな?(でも、昔のドイツ語で歌う気には全然ならないのだけれどね)。

 彼の真似は…能力的に到底できませんが、これを一つのゴールと見据えて、少しでも近づけて歌えるように気を使っていきたいと思います。


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この記事へのコメント
こんばんは。

>その際にお手本となる歌唱が…日本のクラオタなら誰もが大好きな、フィッシャー=ディースカウの歌唱なんだそうです。。

フルトヴェングラーもフィッシャー=ディースカウも直接聴いたことありません。LP、CD、一部は地上波TVの公開レッスンで伝説を聴くみたいな感じでした。
こちらは一時期フルートのレッスン通っていました。吹き方とか譜面の解釈とかはあっても○○がお手本という話は聞いたことありません。
かみさんのピアノレッスン(教えるほうではなく受けるほう)でも練習法とか誰それのコンサートがよかったという話題はあってもやっぱりお手本という話は聞いたことありません。
ちなみにドイツ歌曲のテノールではコンサートも行きましたがペーター・シュライアーはメチャよかったです。

失礼しました。
Posted by tetsu at 2019年12月16日 22:23
tetsuさん

 私も、フルトヴェングラーもフィッシャー=ディースカウも、生では聞いたことはありません。少なくともフルトヴェングラーに関しては、ほとんどの日本のクラオタさんは生で聞いたことがないと思います。

 フィッシャー=ディースカウは、昔、日本のNHKの学習番組(趣味講座みたいなヤツ)で講師を勤めていたことあるんでそうです。その時の映像とかが、どこかにあれば見たいのですが、どっかにないかなーって思ってます。

>お手本という話は聞いたことありません。

 お手本がアレなら、コピーという言い方をしてもいいかもしれません。「○○の歌い方をコピーする」ってのは、歌の世界ではよく使う言い回しです。まあ、コピーって、コピー元と同じ程度の技量がないと、かなり難しいんですけれどね。なので、私には、フィッシャー=ディースカウのコピーなんて出来るわけもないので、せめてお手本として、その歌唱に一歩でも近づきたいと思っているわけです。

>ちなみにドイツ歌曲のテノールではコンサートも行きましたがペーター・シュライアーはメチャよかったです。

 私は、カウフマンかな? 彼の歌う「冬の旅」は生で聞きましたが、素晴らしかったですよん。

Posted by すとん at 2019年12月16日 23:33
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