2020年01月16日

歌心ってなんだろうか?

 この記事は、楽器演奏に関する記事です。

 「良い演奏をするには歌心が必要だ」と良く言われます。あるいは、つまらない演奏に対して「歌心が感じられない演奏だね」とクサす時もあります。

 じゃあ、歌心って何?と尋ねられた時、あなたは答えられますか?

 「それは歌うように演奏する事でしょ?」

 「じゃあ、歌うように演奏するって、具体的には、どんな演奏の事ですか?」

 そう言われると、私は言葉に詰まります。なんとなく、歌心とか、歌うように演奏するとかって、分かっているつもりだけれど、それを明確に定義したり、言葉で説明しようとすると、なんかモヤモヤしてしまいます。

 そこで歌心を一言で説明することは諦め、歌心を形作る要素は何だろうと考えました。それが以下の5点です。

1)自然な息の流れに寄り添う

 管楽器以外の楽器は、息をしなくても、呼吸を無視しても、演奏できるものです。しかし、歌は息が音楽になったモノです。自然な息の流れに寄り添った演奏が、歌心のある演奏なのではないでしょうか? つまり、聞いていて息苦しさを感じるような演奏は論外って話です。

2)音色が豊か

 歌には歌詞があり、歌詞には母音があります。母音には、それぞれの音色があります。つまり、歌のメロディーは歌うだけで、様々な音色に彩られていて、変化を伴います。

 具体的に言えば、ドが3つ並んでいるとしましょう。それを何も考えずに楽器で演奏すれば、同じ音が3つ並んでいるにすぎません。しかし、歌では母音が付いていますから、それぞれの音符の音程が同じドであっても、そこに付いている歌詞が、ア、イ、ウ、であれば、もうそれだけで同じ音符が3つ並んでいるわけではなくなりますし、もしも付いている歌詞が、エ、オ、ア、ならば、それは、ア、イ、ウ、が並んだモノとは、違うものになります。

 歌とは、それだけ音色の変化が多種多様であり、歌心のある演奏とは、音色が豊かな演奏ではないでしょうか。

3)デュナーミクやアゴーギクの幅が広い

 デュナーミクとは強弱の幅であり、アゴーギクとはテンポの幅です。歌って、メトロノームに合わせて歌うなんて事は、まずなく、歌手の気分に応じて、音を大きくしたり小さくしたり、テンポを速くしたり遅くしながら歌うものです。そういう変化に富んだ演奏が歌心のある演奏と言えると言えます。

4)音程が絶妙

 微妙…ではなく、絶妙です(笑)。

 音程って、幅があります。正しい音程というのはもちろんありますが、その正しさの中には色々な音程があるし、正しい音程の中にも、上向きに変化している音程もあれば、下向きに変化している音程もあります。もちろん、震えている音程もあれば、力強く立ち止まっている音程すらあります。微細な音程すら手玉に取って自由に扱うのが歌なのです。

 ちなみに、この手の事が得意な楽器は、ヴァイオリンを始めとする弦楽器です。それゆえに「弦楽器は人間の声に近い楽器」と言われるのかもしれません。

 音程を絶妙に操作しながら演奏するのが、歌心のある演奏なのでしょうね。

5)文学的で心理学的な演奏

 今までの4点の変化を、歌詞の意味に寄り添って変化させ、歌い手の感情のままに変化させていくのが、歌心のある演奏と言えるでしょう。テクニックがただのテクニックなのではなく、文学的な必要と、心理学的な要求に基づいて行われるのです。それが歌の歌たる所以なのです。

 ま、私は歌心というモノを、こんな感じにとらえているわけです。

↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。

にほんブログ村 クラシックブログ フルートへ

にほんブログ村


posted by stone at 04:00| Comment(0) | 音楽一般
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]