2020年07月31日

あなたのフルートはもっと良い音で鳴る!

 最近は、フルートの音色でよく褒められる私です。思えば、よくぞここまで来たものだという思いです。

 フルートを始めた当初の私の音色と来たら、スカスカで、音色に関しての良し悪しを言う前に、まずは確実にフルートを鳴らしましょうと心がけていました。

 何しろ、初心者にとってフルートは、音を出す事自体が一大事ですからね。フルート初心者同士の会話に、アンブシュアがどうのとか、息の方向がどうのとか、頭部管のカットがどうのとかがありますが、あれらはみんな、音を出すことに苦労していて、どうすれば安定して良い音が鳴るかという工夫の中での悩みだったりします。

 私も、当時は大いに悩んでものです。

 フルートを習い始めた当時、ちょうどフルートを今の楽器に買い替えてまもなくの頃、フルートの音を出すのに苦労していた私の前で、当時の先生であった笛先生が私のフルートを吹いてくれた事がありました。あの時はびっくりしたものです。私が鳴らした時とは、全然違った音で、すごく太くてカッコいい音で鳴ったんですもの。同じ楽器なのに、私と笛先生では、全然音が違っていたのです。

 その瞬間に、私はフルートの、とりわけ頭部管の買い替えを諦めたのです。そんな事をしなくても、この私のフルートから、もっともっと良い音で鳴らす事ができるのだから、買い替えの前に、自分の腕を磨きましょう…って決心したわけです。

 まあ、結論を言っちゃうと、フルートの音色って、奏者次第なんですよ。頭部管の違いは無いわけでは無いけれど、正直、音色に関しては、頭部管の違いは、あまり考えなくても良いと思います。どんな頭部管であっても、奏者次第で美しく鳴るんです。ただ、音色そのものは奏者次第なので、奏者が違えば、おのずと音色は変わってきます。だからこそ、フルーティストは、日々、音作りの練習を欠かせないわけです。

 私のフルートの音色は、どちらかと言えば軽やかで、凛としているタイプです。笛先生のような太くてアーシーな感じでは全然ありませんし、たぶん、あんな感じの音色でフルートを鳴らす事は私にはできないでしょう。それこそ、それは奏者の違いです。

 でも、あの頃の私と比べれば、すばらしいほどにフルートを鳴らせるようになりました。あの頃よりは、多少なりとも腕が上がったのでしょう。今の私は、音色に関しては、特に不満はありません。でも満足はしていないので、もっともっと音作りに励み、さらに良い音で鳴らせるようにしていきたいと思ってます。

 だからと言って、フルートの買い替えを諦めたわけではありません。今よりももっと音量が必要な場で吹く事が増えたら、真剣にフルートの買い替えを考えていといけません。今のフルートには、音質の不満はありませんが、音量の物足りなさは少なからず感じています。音量を増やすためには、奏者の腕前の向上は必須ですが、それ以前に楽器の性能や特性がモノを言うからです。音量を増すには、今のフルートよりも、重い材質で作られていたり、頭部管のカットの仕方を変えたり等の工夫が施された楽器が必要になってきますから。

 とは言え、アマチュアのフルーティストには、そんなに大きな音量のフルートが必要になる場面なんて…まず無いよね。人前で演奏するとしても、基本的にはソロ演奏か、せいぜいピアノ伴奏ですからね。フルオーケストラをバックに大ホールでソロを吹く…ならともかくも…そんな事なんて、まずありません。

 そういう意味では、今のフルートを大切にして、この楽器で最高に良い音で鳴らしてあげる事を目指していきたいと思ってます。なんだかんだ言っても、私の大切なパートナーですからね、アゲハちゃんは(笑)。

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posted by stone at 04:00| Comment(9) | フルートのエッセイ
この記事へのコメント
フルートを習い始めた頃、音の事でアレコレ悩んでいたことを思い出しました(^^;
今でも悩みは尽きませんけどね…でも、ある種の諦めっていうか開き直りっていうか慣れっていうか、あまり細かいことを気にしなくなりましたね。
もう、いいの。楽しく吹ければ♪って感じです(^^)

すとんさんの音、どんどん磨かれているのでしょうね。聴いてみたいなぁ。
Posted by やこ at 2020年08月07日 22:28
やこさん

 笛吹きは誰でも最初は音で悩むものです。

>もう、いいの。楽しく吹ければ♪って感じです(^^)

 それは私も同じ。ただ、音があまり美しくない時は、ちょっぴり楽しさが減ります。そういうこだわりに近いものが、たぶん、私のフルートの音を美しくしていったんだろうなあって思ってます。楽しく吹くためにも、フルートの音色はより美しないと…って思ってます。

Posted by すとん at 2020年08月08日 18:54
過去のブログからのたのしいお話、拝見しています。ありがとうございます。私も45年くらい笛を吹いています(中断あり)。特に、メーカーや材質の違いについては、楽しそうで、とてもうらやましく読ませていただいています。私の笛はムラマツとヘインズ(オールドヘインズが終わったころ。スケールはオールドですが)ですが、まったく同じ音で鳴りますし、たまにいろいろなメーカーのいろいろな機種の笛を借りるのですが、おおっ、これはおもしろそう、と思っても、数時間で自分の音になってしまう(してしまう)ので(ムラマツの音もヘインズの音もしないと、大昔、先生から言われました・・・泣)、すとん様のような楽しみが味わえませんし、物欲が起こらず、そういう意味ではつまりません。どうか、また、メーカーや器種の違いと音について、書いてください。最近の製品はいかがですか?
Posted by たっくす at 2020年10月01日 15:50
たっくすさん、いらっしゃいませ。

 私も最近の製品については知りたいくらいです。

 やはりこのご時世ですから、東京の大きな楽器屋に行くこともないですし、ましてや、買いもしないのに気軽に試奏なんて、頼めないです。一回吹くだけで、消毒をしなきゃいけないわけで、それはそれで大変ですからね。時代は変わったんだと思います。

 それに、どんな楽器を吹いても、楽しいのは最初の数時間だけで、すぐに自分の音になってしまうのは、たっくすさん同様です。もうそうなってくると、楽器を選ぶ基準が音色ではなく、メカの頑丈さとか、音量の大きさとか、メンテのしやすさとかになってしまうと思います。でもそれじゃあ、楽器選びとしては、あまり楽しくないんです。

 実のところ、最近は安価なプラ管のフルートばかり吹いてます。プラ管でも、ちゃんと良い音色で自分の音で鳴ってくれるので、無理に高い楽器なんて買わなくてもいいよなあ…なんて思っちゃいます。でもそれじゃあ、楽器屋が儲からないし、メーカーだって儲からないので、本当は、現役で収入があるうちに、高い楽器を買ってあげないといけないんだろうなあって思っます。
Posted by すとん at 2020年10月01日 19:50
お返事ありがとうございます。大昔、それでメシを食おうかなどと考えていたので、とにかく自分の音を作ることしか考えたことがなく、メーカーがどこであっても、どういった機種であっても、クセ(?)はあるにせよ、道具としてしか考えていなかったので、すとん様のお話しを読ませていただいて、まさにびっくり仰天でした。そういう楽しみ方もあるのか!と。最近、40年ぶりに一本買ったのですが(ムラマツのGX、リング、H。私は洋銀のキーの感触が好きなのと(というか、銀キーの感触が嫌い)、手が小さいのでムラマツは持ちやすい)、どうせ音は作るからどれでもいいやと。しまった、もっと楽しめばよかった・・・。
Posted by たっくす at 2020年10月01日 21:50
たっくすさん

>どうせ音は作るからどれでもいいやと。

 まあ、そうなんだろうと思いますし、正解ですよ。ただ、最終的には同じものを選択したとしても、その過程をもって楽しみたかったというのは分かります。買い物って、買うまでの品定めの部分が楽しいんですよね。あれこれ迷うのが嬉しいんですよね。それはフルートに限らず、何でもそうです。それこそが“ザ・買い物”なんだと思ってます。

Posted by すとん at 2020年10月01日 23:42
「ジラーレ」についての相変わらずの「すとん節」、面白かったです。へぇー、そんな風に考えるのか、という感じです。この機会に、小生のジラーレ観を整理してみました。
 お粗末ながら、タケちゃんのジラーレ観です。
「ジラーレ」はイタリアで声楽を学ぶとよく言われる符丁。「どこを曲げるんですか」と聞く生徒もいる。自分のパッサージオポイント=ブレイクポイントを越えると(テナーの人はf〜gでしょう)、それまでの音高と同じ声帯の厚さのままだと発声に困難が伴う。音高に従って喉頭が上がり喉頭洞は狭くなるのでさらに大量の息が必要になる。同時に、音高と連動して各母音によっても咽頭スペースが制限される(i,e,a,o,uの順)。当然、共鳴は妨げられ発声に無理が生じる(=「ノドが詰まる」)。そこを超えて最小の呼気で高音を出すためにはさらに声帯を薄くして(声帯の長さは変えられないので)、声を方向転換する必要が生じる。その「感じ」をイタリアではgirare(=曲げる)と言っている。日本語では「被せる」に通じるか。国際派の指導で「母音修正」と言われているものと関係する。イタリアでは copertura(伊)とも言う。英語圏のcoverやドイツのdeckung、フランスのcouvertureなどの技法も共通点が多い。
 この技法については、パヴァロッティが師匠のアリゴ・ポーラからやかましく言わたとインタヴューで何度か言明しています。実際にパヴァロッティがこの技法を実際に披露している場面がYouTubeで見られます。発声の参考になると思います、是非、見てください。(「Joan Sutherland,Marilyn Hone and Luciano Pavarotti」もしくは「How to sing Bel Cant 1および2」。二つとも同じ映像を基にしています)。この三人の名歌手はともに、歌に対する父母の影響を語っています。ホーンなんて5歳から訓練されたと言っているのには驚かされます。歌にしても絵にしても、小さい時に養われた感性が大人になっても影響するんでしょうね。
 小生は少年時代からステファノが好きでした。歌いまわし、情感表現など今も好きです。ところが、昔、海外で生活している時、イタリア人の友人から「ステファノではなくベルゴンツィーに学べ」とよく言われました。「あの発声では歌手生命は長くない」とも聞きました。実際、短命でした。それは発声がアペルト気味の上、最大の問題は声区のチェンジをしないからだということでした。青年時代にカンツォーネ・ナポリターナの歌手をしていた習慣が抜けないのだとも聞きました。今で言う「ベルティング=ブロードウェイ・サウンド」発声です。ベルティングは一本のベルトのように声区を変えずに高音を出します。「地声唱法」などとも言います。ミュージカルは会話を重視します。マイクを使いますから声を響かせる必要もありません。ベルティングは日常会話に近い発音ができミュージカルに適しているのです。その代償として喉に負担をかけ、喉を傷めます。ニューヨークブロドウエイに咽喉科のクリニックが林立してるのは、ミュージカル歌手のベルティング発声による傷害が多いからです。
 以上、失礼しました。
 
Posted by カバちゃん at 2020年10月02日 14:40
カバちゃんさん

 勉強になります。ありがとうございます。

 私はレッスンで「曲げる(ジラーレの事ですね)のは最終手段であって、なるべく曲げずに高みを目指しなさい」と言われています。と言うのも、声を曲げてしまうと、そこからせいぜい1音かもう少ししか上に登れなくなってしまうのだそうです。

 なので、今の私はGまでは曲げずに歌い、そこから上もなるべく曲げずに歌おうとして、ついつい曲げてしまい、Aで頭打ちって感じなんです。Aまで曲げずに歌えれば、BとかCとかまで歌えるようになれるんじゃないかって考えてます。それこそ、ミュージカルの人は、ベルティングでAまで歌うのが常識ですから(ってか、それができないとミュージカルは歌えない)私もそこまで到達したいと思ってます。

 ノドを壊す? 私のノドはそんなにヤワではないです。むしろ、ヤワじゃないから、いつまで経ってもノドから脱力できないくらいですもの(涙)。

Posted by すとん at 2020年10月02日 17:07
35年ぶりに新しい笛を買って3か月、ほぼ音のリハビリが終わり、毎日、短時間ですが遊んでいます。ヘインズは、かなり使い込んでいたにも関わらずタンポも問題なく、なぜか35年の時を経て限界まで鳴させるようになっていて奇妙です。新しい笛はGXという人気のないモデルですが、ヘインズと5分ずつ交換して練習しています。こちらも楽器としての限界までは鳴りますので、そこから音作り中ですが、ヘインズより若干難しいかな(私は低音のGが基準のソノリテで、ロングトーンではなくスタカットで作ります)。特に両笛で中音のE,Fと高音のD,Eのスケール特性がかなり違うので、ちょっと面倒ですね。指は歳なので昔を目指したリハビリは無理かも。左人差し指付け根と右親指で支えて、元々Disキー小指はまったく使わないので(変え指には使う)、ピアノのように弾きますが、高速運指が昔のようになめらかに動かない(泣)。昔、右手親指のところに滑り止めを貼っていたのですが、また貼ろうかな。まあ、昔をなつかしんでもしかたないので、ボケ防止のボチボチですね。
Posted by たっくす at 2020年11月03日 15:23
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