2020年03月02日

新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」の後編を見てきたよ

 今や、新型コロナウィルスが流行りまくって、学校は休校になるは、不要不急の外出は控えろだとかの御ふれが出ています。それは重々承知していますが、私は自己責任で映画を見に行っちゃいました。

 これは誰にでも薦められる事ではないのだけれど、今、エンタメ業界って大変じゃないですか? みんな外出を控えるし、感染予防のためと言って、コンサートが中止になったり、無観客公演になったり、なんとかコンサートを開催しても、客席はガラガラだったり…ほんと、エンタメ業界は、本当に大変な状態だと思います。

 この騒ぎで、大きなところはともかく、小さな音楽事務所は無傷では済まないでしょうね。おそらくいくつかの会社は倒産してしまうと思いますよ。

 そんなこんなもあって、エンタメ業界を応援しないといけないかなって、個人的には考えています。ですから、いつもよりも多めにCDを購入してみたり、配信音楽をダウンロードしてみたり、DVDを購入したりレンタルしたり、配信映画を見たり、なるべくエンタメ業界に微々たるとは言え、お金が落ちていかないかなと思っています。

 その一環で、映画も見に行くことにしたんです。

 最初、正直な話、映画を見に行くのは止めようかな…と思いましたよ。何しろ、密室に3時間以上も閉じ込められるわけだしね。その中に保菌者がいたら、一発アウトだよね。なので、今の時期、映画館に行く事は万民に推薦できる事ではないと思います。

 それに「風の谷のナウシカ」の後編は、予定では1週間の限定上映のはずでしたが、すでに東劇での上映延期(2月28日(金)〜3月19日(木))が決まっていますので、今回見逃しても、東京に行けば、まだ当分見る事ができるので、そんなに焦る必要もないわけです。

 とは言え、やはり地元で見るに越したことないし、映画館にお金を落としたいし、何より、やっぱり見たいので、危険を覚悟の上で、「風の谷のナウシカ」の後編を見に行きました。

 座席は…ガラガラかと思いましたが、それなりに混んでいました。年齢層は、やはり高齢者が多かったですが…みなさんマスクをしていたし、咳をする人もいなくて、ちょっぴり安心でした。これなら、職場よりも全然安心です(ウチの職場には、もう一週間以上、ゴホゴホ咳をして、熱があるのか、真っ赤な顔をしている人がいます。いくら言っても、休まないし、病院にも行きません。こういう人が保菌者だったなら、病原菌をふりまくんだろうなあ…)。

 さて、お芝居そのものですが、前編よりも面白いかもしれません。前編はどうしても映画版との無意識の比較もあり、損をしている部分がありますが、後編は始めての映像化なわけで、ディープなファンで原作漫画を読んでいる人がいれば別ですが、私は原作を読んでいないので、歌舞伎は歌舞伎として楽しみました。

 例えば、巨神兵と墓の主の精との最終決戦は、なんと、連獅子なんですよ。たぶん、想像できない思うけれど、連獅子の舞で最終決戦を表現しちゃっているわけで、これはこれだ大迫力でスペクタクルなわけです。いやあ、すごかった。おそらく、原作とは全然表現方法が違うんだろうけれど、歌舞伎ならこれもアリですよ。

 あと、箱庭の精は男性なんだけれど、この精霊がナウシカの母に化けているわけです。ナウシカの母に化けている時は、当然女性なわけです。で、これがナウシカと対峙する時、精霊になったり母になったりするんです。つまり、一人の俳優が、演じながら、男性になったり女性になったりするわけです。これが実に絶妙なんですよ。歌舞伎役者が演じているのだから、男役と女形をシームレスに演じるわけで、いやあ、これは面白い演出だなって思いました。

 前編後編合わせて6時間半ほどで、長いんだけれど、これはなかなか面白い歌舞伎演目だなって思いました。長いので、演じる方も見る方も、色々と大変なので、歌舞伎演目として定着できるかどうかは難しいところがあるかもしれませんが、お芝居そのものは面白かったのです。まあ、私はオペラを見る人だから、短めのオペラを2本見る感じなので、平気平気ですが、一般の人には、相当厳しい上演時間だと思います。

 ちなみに、私は今、アシェットから隔週で刊行される「歌舞伎特選DVDコレクション」定期購入していますが、このシリーズに「風の谷のナウシカ」は入らないかしら? アシェットのシリーズって、割と最近の上演演目がDVD化されているし、新作歌舞伎もたくさん入っているし、100巻予定のうち、まだ最初の30巻までしか演目は決まっていないし、まだ十分チャンスはあるよね。そう思うと、なんか(勝手に)ワクワクします。

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2020年02月27日

書き落としていたシネマ歌舞伎

 つい先日、このブログのカテゴリに「歌舞伎」という項目を新設しました。と言うのも、私、案外、これまでも歌舞伎についてチョロチョロと書いている事に、はたと気がついたので、これはやはりカテゴリとして独立させておいた方がよかろう…という次第なのであります。

 で、慌てて、歌舞伎関係の記事をこのカテゴリに関連付けたわけですが、そこで気がついたのは、今まで見たシネマ歌舞伎に関して、一般の映画扱いして、年末の映画まとめ記事の中で書いてしまっていたなあ…って事です。せっかく「歌舞伎」カテゴリを作ったので、今まで見たシネマ歌舞伎に関する事柄を、先の映画まとめ記事の中から抜き出して、ここに再録する事にしました…とは言っても3本なんですがね。

 今回の記事は、こんな趣旨なんです。記載は当時のままです。ご勘弁ください。では参ります。

シネマ歌舞伎「大江戸りびんぐでっど」(2015年に見ました)
 シネマ歌舞伎を見たにも関わらず、この作品については、ブログ記事にしていなかったようです。まあ、音楽的な要素も少なかったし(こう言ってはアレですが)特に感動しなかったからかもしれません。

 歌舞伎…なんだけれど、かなりドタバタした劇なんですよ。はっきり言っちゃえば、コントです。で、コントと歌舞伎の相性って…あまり良くないような気がします。と言うのも、コントにはスピードが必要なのですが、歌舞伎の様式って、常にスローじゃないですか? 歌舞伎って、スローと言うよりも“ためてためてためて…で、見得を切る”っパターンの芝居じゃないです? ちょっとコントとは食合せが悪いような気がするんだな。

 たぶん、この「大江戸りびんぐでっど」って芝居、歌舞伎じゃなければ、そこそこ面白かったと思います。でも、これを歌舞伎にしちゃ、ダメかも。歌舞伎に現代喜劇を持ち込むなら、大阪の新喜劇のようなモノの方が相性いいんじゃないかなって思いました。

シネマ歌舞伎「東海道中膝栗毛〈やじきた〉」(2017年に見ました)
 やじきた…って、名前ばかりが有名で、では、どんなお話だったの? と聞かれても、弥次さんと喜多さんが旅に出て、あれこれ騒動を巻き起こす…ぐらいしか知らないよね。 本来は、江戸時代に書かれた滑稽本の一つで、今で言うラノベみたいなものです。一応、元々のストーリーだってあるんだけれど、それよりも、弥次さん喜多さんのキャラクターばかりが独り歩きして、今に至っているようです。

 この歌舞伎も、そんなやじきたの一つです。弥次さん喜多さんのキャラクターが使われているだけで、別にオリジナルに忠実ってわけじゃありません。なにしろ、この歌舞伎では、弥次さん喜多さんは、ラスベガスに行っちゃいますから。だから、本来の「東海道中膝栗毛」とは明らかに別物。もっとも、この世にある、映画や芝居のやじきたは、たいていオリジナルとは別物だから、そこに文句を言っても仕方ないです。

 で、この歌舞伎のやじきたはアリかと言えば…どうだろ? 今までにも、あれこれぶっ飛んだやじきたを見てきた私としては、ちょっと刺激が弱いかな…って感じもします。でもまあ、マイルドなやじきた(?)が好みという人には、これはこれで良いのかもしれません。

NEWシネマ歌舞伎 四谷怪談(2018年に見ました)
 基本的なストーリーは『東海道四谷怪談』に即しています。演出はところどころに現代的な要素が入っているけれど、それは味付け程度で、肝心のストーリーはきちんと分かりやすく演出されています。やっぱり、古典は面白いや。

 私は十分楽しみましたし、他人にも薦めたいくらいに楽しかったです。あえて難を言えば、お岩さんって、若奥様の設定のはずなんだけれど、どう見てもお祖母ちゃんにしか見えないのが、視覚的に厳しかったなあ…。演技力とか化粧だけでは、どうにもならないモノがあるわけで、舞台なら、遠目だし、それはそれでアリかもしれないけれど、映画にする時は、アップも多いし、それが巨大スクリーンに投影されるわけだし…映画にすると決めた段階で、キャストを再考しても良かったんではないかと思いました。

 さて、こんな感じです。「歌舞伎」カテゴリを新設したからと言って、急に歌舞伎関係の記事が増えるわけではありません。今までのとおり、ゆるゆると歌舞伎についての事柄が生じたら、記事にする予定です。その程度ですが、よろしくお願いします。

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2020年02月17日

新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」を見てきた

 …とは言っても、生の舞台ではなく、ディレイビューイングと銘打たれた映画版の方です。ひとまず見てきたのは前編(つまり昼の部の公演です)で、後編(夜の部だね)は、また後日上映されます。

 舞台の方は昨年の12月に新橋演舞場でやっていわけで、それを二ヶ月後に映画にして全国興行しちゃうわけで、なかなかに貪欲な演目となっております。年末年始に、テレビ番組でも特番が組まれ、本格的にプッシュしていた事もあり、興味津々な方もいらっしゃるとは思います。

 で、私が見てきた感想ですが、ひとことで言っちゃえば「これもアリ」だと思いました。ただし、ジブリに思い入れのある人は見ない方が良いかもね。あくまでも新作歌舞伎としてはアリだけれど、ジブリ作品としては微妙…ってか、私的には無しだなって思いました。だって、まるで見た目が違いすぎるんだもの。はっきり言って、ゲテモノです。

 なので、こいつを見る前に、頭の中から“ジブリ”を取っ払う必要があります。それが出来れば、時代劇だけれど無国籍でファンタジーなお話を楽しめると思います。とどのつまり、これは、歌舞伎はまあまあ知っていて、だけどジブリとかナウシカとかをよく知らない人ほど楽しめる作りとなっています。つまり、歌舞伎ファン(それも初心者)向けの演目であって、ジブリとかナウシカファンには、ちょいと厳しい感じになっております。

 ちなみに、全7幕の通し狂言として作られていますが、元々のジブリ映画に相当する内容は、最初の序幕(第1幕)の部分だけで、二幕目以降は、ジブリ映画の続編となっています。そういう意味では、ナウシカ初の完全映像版とも言えるでしょう。

 私個人はなかなか楽しめたし、気にも入りましたし、後編も見に行くつもりですが、ほんと、これは見る人を大いに選ぶ演目だと思います。誰にでも気軽に薦められるってモンじゃないと思いました。

 例えば、歌舞伎だから、女性の役も男性の俳優がやっているわけで、ナウシカもクシャナ姫も男性の俳優がやっている(女形ってヤツだね)わけで、まあ、一般人にとっては、そこが鑑賞的に最初のハードルかもしれませんね。いくら歌舞伎役者とは言っても、女形と言っても、ナウシカの“萌え”は表現しきれませんからね…。アニメオタクにとって、萌えないナウシカなんて、ありえないでしょ?

 ジブリ映画、とりわけ宮崎映画に顕著なダイナミックな映像美ってヤツと、歌舞伎の持つ様式美ってヤツは、まさに水と油ってヤツで、ジブリ映画の魅力ってのは、ストーリー半分、カメラワーク半分だと私は思ってますが、舞台にしてしまうと、そのカメラワークの魅力が削がれちゃうわけで、ジブリ的な鑑賞眼を以て、この公演を見ると、退屈に感じるかもしれません。

 その代わり、冒険活劇的な視覚効果の少ない分、ストーリーの方はだいぶ分かりやすく表現されていると思いました。とにかく、映像の力に頼れない分、説明セリフが多くて、それは演劇的にはどうなの?と思わないでもないですが、観客的にはセリフで状況を説明してもらえるのは、親切かもしれません。ストーリーを追いかける分には特に問題はありません。

 ディープな歌舞伎ファンがこれを見た時、どんな感想をお持ちになるのかな? その点を大いに知りたい私でありました。

蛇足 王蟲の声は市川中車(香川照之)なんだけれど、私にとっては、どうにもこうにも“カマキリ先生”なんだね。まあ、カマキリ先生が王蟲ってのも、アリっちゃあアリなんだけれどサ(笑)。

蛇足2 10月にはシネマ歌舞伎で、三谷幸喜の脚本と演出で、みなもと太郎の「風雲児たち」をやるそうな。今から楽しみ。

蛇足3 歌舞伎界の新しい試み繋がりで、ETVで放送された超歌舞伎「今昔饗宴千本桜」を見ました。こちらは中村獅童と初音ミクの共演というので話題になったヤツですね。頑張ってますね、面白いかと言われると微妙ですが…。これを見て分かったのは「風の谷のナウシカ」は、とてもとても頑張っているって事です。完成度高かったんだなあ…。

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2019年12月15日

ワンピース、スター・ウォーズ、風の谷のナウシカ

 えっと、これは何かと言えば、最近話題になった新作歌舞伎の話です。

 新作歌舞伎って、毀誉褒貶が激しいですね、特にこの手のたぐいは…ね。

 まあ、ワンピースにせよ、スター・ウォーズにせよ、風の谷のナウシカにせよ、それぞれの作品には熱狂的なファンがいるわけで、そういうファンの目から見たら、これらの歌舞伎化と言うのは、なかなか受け入れがたいものがあるのかもしれません…ってか、彼らの目で見れば、歌舞伎にしちゃったら、ゲテモノにしか思えない…というのが正直な感想でしょうね。

 ちなみに、スターウォーズは、すでに公演が終了しているし、配信も終了しているので、DVD化でもされない限り、もはや見ることはできません(でも版権持っているのはディズニーなので難しいかも…)が、ワンピースは収録された映像が、今でもたまに松竹系の映画館で上映されていますので、チャンスがあれば見ることが出来ますし、風の谷のナウシカに至っては、現在、新橋演舞場で上演中なので、チケットさえ入手できれば見に行けます(そのチケット入手がかなり困難ですが…)。

 ちなみに私は、どれもこれも見てません。見たくないわけではないのだけれど、見てません。そもそもワンピースは物語そのものをよく知らないので(私はワンピース世代じゃないんですよ)触手が動かないのですが、スター・ウォーズとナウシカは、チャンスがあったら見たいと思ってます。ナウシカに関しては、その映像が来年(2020年)の2月に映画館で上映される予定なので、ぜひ見に行きたいと思ってます。

 というわけで、見たこともないのに語ってしまいますが、私はこれらの新作歌舞伎に関しては、割と賛成の立場の人です。どんどんやれば良いと思ってます。

 もちろん、これらの作品の歌舞伎化は、見ようによっては、ゲテモノ化、バチモノ化と感じられるかもしれませんが、歌舞伎の歴史の中では、世間で流行った事件とか、他のジャンルでヒットした作品の歌舞伎化なんてのは、江戸の昔から行われているわけで、それらの中から、つまらないモノはドンドン消えていき、良い出来の作品だけが生き残って、今に伝わっているわけです。

 だから、ワンピースにせよ、スター・ウォーズにせよ、ナウシカにせよ、つまらなければ、やがてお蔵に入って消えて無くなってしまうし、出来が良ければ、何度も何度も上演されて、やがて定番歌舞伎の1つになっていくと思います。

 なので、こういった試みは、ドンドンやっていけばいいのです。良ければ、再演していくわけだしね。

 実際、初音ミクの歌舞伎出演は、今年(2019年)で3年連続になったそうです。昨年までは、ニコニコでやっていたそうだけれど、3年めの今年は大阪の南座(本格的じゃん)で上演したそうですよ(上演ね、上映じゃないよ)。来年上演するかは、まだニュースになってませんが、大阪でやったんだから、そのうち東京でやるんじゃないかしら? それこそ、オリンピックの時期に東京でやったら、外国人に大受けするだろうし。

 このように、良いもの、面白いものは、何度も上演されるんです。だから、ワンピースにせよ、スター・ウォーズにせよ、ナウシカにせよ、その他の今どきの作品だって、ドンドン歌舞伎化して上演していけばいいのだと、私は思うんです。

蛇足 アニメの歌舞伎化と言えば、私は個人的には、ドラゴンボールの歌舞伎化を見てみたいです。すっごくゲテモノ感が漂う出来になるだろうけれど、案外面白いじゃないかなとも思います。

蛇足2 昔の時代劇の名作を歌舞伎にするのは、あんまり無理がないんじゃないかしら? 例えば、銭形平次とか、遠山の金さんとか、水戸黄門なんて、歌舞伎にしても、全然違和感ないと思うんだよね。必殺仕事人なんて、歌舞伎にしたら、面白いと思うんだよなあ…。


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2019年10月03日

歌舞伎のDVD

 このたび、アシェット社から「歌舞伎特選DVDコレクション」が発売になりました。隔週で、DVD付きムックが販売されます。以前、ディアゴスティーニ社からオペラのDVD付きムックが発売になりました(で、すぐに販売中止になりました。全80巻の予定が5巻で終了しちゃったのでした。私のトラウマの一つです)が、まあ、アレの歌舞伎版って感じです。

 歌舞伎の方は、全100巻の予定だそうです。歌舞伎の普及のために、頑張って刊行しつづけて欲しいです。「全100巻の予定でしたが、5巻で販売中止とさせていただきます」ってのは、もうイヤだよ。

 で、私は定期購読の予約をいたしました。これでキャンセルさえしなければ、全100巻は私のモノです(笑)。ホームページはこちらです。隔週で歌舞伎のDVDが届くので、溜め込まないように、DVDが届くたびにしっかりちゃんと見てますよ(まだ3巻ですが…)。

 正直、私、歌舞伎は好きですが、オペラほど好きなわけではありません。たまに歌舞伎を、リアルに見に行ったり、映画館でライブビューイングを見たりしますが、だからと言って、歌舞伎に詳しいわけじゃないです。いわゆる“ライトなファン”ですね。でも、今回のDVDシリーズの刊行は応援しています。

 それにしても、隔週で100巻。シリーズ完結までに200週かかるわけです。約4年ですね。長いなあ…。でも、ディアゴのオペラシリーズは中途で終わっちゃったけれど、アレの刊行開始が、もう4年前なんです。あの時、あのまま、オペラシリーズの刊行が続いたとしても、もうシリーズ完結している頃なんですよね。それを思うと、4年くらい、あっという間だね。

 アシェット社さんには、ぜひぜひ頑張って欲しいものです。このブログを読んでいる人の中に、歌舞伎ファンの方は少ないと思いますが、もしお知り合いに歌舞伎ファンの方がいたら、何となく教えてやってください。よろしく。

 みんなで買い支えよう、歌舞伎のDVDセット!


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2015年12月03日

シネマ歌舞伎で「ヤマトタケル」を見てきました

 今年から隣町の映画館でシネマ歌舞伎を上映するようになったので、時折見に出かけている私です。シネマ歌舞伎は月イチで上映します。今月は、スーパー歌舞伎の「ヤマトタケル」を上映していました。

 スーパー歌舞伎とは何かと言うと、新作歌舞伎の一種で、歌舞伎の約束事ばかりにとらわれず、ミュージカルやストレートプレイの良い所も取り入れた“今っぽい歌舞伎”ってヤツです。演出も今っぽいし、セリフも現代語ですから、歌舞伎に慣れていない私なんかは、通常の歌舞伎上演よりも親しみやすかったりします。

 私が見てきたのは最初のスーパー歌舞伎である「ヤマトタケル」でした。初演は1986年でしたが、2012年に新橋演舞場で演じられたものを見ました。

 ストーリーとしてはヤマトタケル伝説を舞台化したもので、なかなか面白かったですよ。もちろん、歌舞伎なんだけれど、よく出来た日本語ミュージカルでもありました。芝居も衣装も化粧も派手で、全然リアルじゃなくて、そこがすごく夢々しくてよかったです。
 脚本と演出は、先代の市川猿之助こと二代目市川猿翁で、スーパー歌舞伎を考えて作り出した張本人さんです。

 主役のヤマトタケルこと小碓命(おうすのみこと)を演じたのは、四代目市川猿之助(昔の亀治郎)で、小碓命の兄である大碓命(おおうすのみこと)も演じていたので、一人二役であり、第一幕の小碓命と大碓命の乱闘シーンは、影武者との入れ替わりやら早着替えやらの連続で、なかなかおもしろかったです。あと、最後の最後に、お約束の宙乗りがあります(やっぱ、猿之助と言えば宙乗りだものね)。

 帝を演じていたのが、香川照之こと九代目市川中車でした。ちなみに映画の冒頭で、市川猿之助と市川中車の舞台挨拶(たぶん襲名披露)の映像が付いてました。

 私が特に目を見張ったのは、兄橘姫(えたちばなひめ)と、みやず姫の二役を演じた市川笑也です。この人、女形なんですが、私が今まで生の歌舞伎の舞台で見た女形や、シネマ歌舞伎で見た女形とは、ちょっと違うんです。

 女形というのは、男性俳優が女性役を演じるもので、男が女を演じるわけですから、色々と無理があるわけで、その無理さが歌舞伎鑑賞で大きな妨げになると私は思っています。

 私もこれまで、あまり数は多くないのですが歌舞伎を見ていて、芝居に夢中になっていても、女形が出てくると、途端に気持ちがスーーーと引いてしまっていました。だって女形って、違和感バリバリなんだもん、不気味なんだもん、気味悪いんだもん。いくら女の衣装を身につけて、所作を女っぽくしても、見た目はどうしても男性だし、声も男性だし、何をどうしても男性なのに、それを女性として認識しろって、そりゃあ無理だよね。でも、その無理を強いられるのが歌舞伎なんだと諦めていました。

 ところが兄橘姫を演じていた市川笑也は全然違うんですよ。映像の中の彼女は、女形ではなく、すっごい大柄な女性(笑)に見えるんですよね。なので最初は、普通の歌舞伎ではなく、スーパー歌舞伎だから、女優さんを使っているのかな?と思ってしまったくらいです。まあ、映画ですからアップのシーンがあって、その時に首筋を見た時に、女の首筋ではなく男の首筋だったので「ああ、やっぱり女形が演じているんだ」と思ったものですが、舞台などでアップで見られない状況だったら、最後の最後まで疑心暗鬼にかられたまま「女形なの? 女優なの?」と悩んでいたかもしれません。それくらい、女性に見えたんですね。

 なぜ、そう思ったのか? それはおそらく、声です。演じている時の声が、男性のファルセットでもなく、甲高い男の声でもなく、オカマの声でもなく、本物の女性の声のように聞こえました。男性でも、女性ホルモンを投与すると、こんな感じの声になるわけですが…まさか、女性ホルモンを投与しているとか(笑)。まあ、それくらい、耳で聞くと女性だったわけです。声が女性だったので、カラダつきが男性っぽくて、所作が女形女形していても、女性に見えちゃったわけなんです。

 演技にとって、声って大切なんだな。

 このスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」は、もうすぐ上映が終わってしまいますが、先代であり、この演目の脚本&演出家である三代目市川猿之助が主演したモノがDVD化されていますので、興味がある方は、そちらでご覧になれます。

 

 四代目と三代目、演じ方がどう違うのか、私も興味があります。

 

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posted by stone at 03:30| Comment(0) | 歌舞伎

2015年07月23日

シネマ歌舞伎「春興鏡獅子」を見てきました

 …と言っても、別にいつものように「春興鏡獅子」のお話をしたいわけじゃありません(ちょっとはしますが:笑)。

 実は、先の三連休の最終日に、隣町の映画館に「春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)」を見に行こうと計画をたてたわけです。歌舞伎なんて(映画であれ実演であれ)なかなかに行けないし、ましてや有名な演目を狙っていくというのは難しいわけですし、先日シネマ歌舞伎で見た「京鹿子娘二人道成寺」が良かった事もあって、それで三連休のお楽しみとして「春興鏡獅子」に辿り着いたわけです。

 「春興鏡獅子」とは、いわゆる「鏡獅子」と呼ばれる、割りと有名な歌舞伎の演目です。

 で、その「春興鏡獅子」は、映画館で朝一発目に上映されるんです。一日一上演で、一週間限定なんです。まあ、そのあたりは、メトのライブビューイングの上演なんかと一緒ね。配給会社も松竹だから、そういうシステムはほぼ同じなわけで「まあ、そんなもんだよね」と思いながら、映画館に行ったと思って下さい。

 まずはその旅程(笑)から失敗がありました。実は、隣町の映画館、我が家からバスで一本なんですね。家のすぐそばにあるバス停からバスに乗って、10分少々で映画館に着きます。バス停すぐ近くだから、バスが来る直前まで家で涼んで、バスが来る頃を見計らってバス停にいけば、すぐにバスに乗れるし、バスはたいていスカスカで涼しくて目的地まで座っていけるわけです。なのに…うっかり駅まで行っちゃいました。駅まで徒歩約10分。真夏の炎天下を10分も歩くんですよ。普段はなんでもない道のりでも、この季節では汗が吹き出します。で、駅に着いて10分程度電車を待って、電車に乗れば、隣町だからすぐだけれど、まず座れることはなくて…なんかしんどい思いをして、時間を余計にかけて、映画館に行ったわけです。まあ、運賃がバスより電車のほうが若干安い事は救いですが…。

 で、全身から汗が吹き出ている状態で、映画館に着きました。映画の上演まで30分ほど余裕をもって到着しました。それなのに…すでに満席でチケットが買えないって、どーゆーこと?

 終了! なにしろ、1日に1回しか上演しないんだから、アウトですよ。なんかもう、呆れちゃいました。そこで慌ててググったところ、そこから東京に行けば、「春興鏡獅子」が見られることが分かりました。チケットも事前にネットで購入すれば確実に入手できるけれど、これから、わざわざ東京まで時間とお金をかけて、シネマ歌舞伎を見に行く? 最初っから東京で見るつもりだったら、全然平気だけれど、隣町で見るつもりだったから、余計にかかるお金と時間を、シネマ歌舞伎を見たいというモチベーションとを天秤にかけた結果…ウチに帰って、オペラのDVDを見るという結論に達しました。いやあ、連休の最終日なのに、半日つぶしてお出かけするのを避けたかったわけです。それやっちゃったら、今週のお仕事に差支えが出るって思ったわけです。

 で、ウチに帰って、1991年にコヴェント・ガーデン王立歌劇場で上演されたドホナーニ指揮による、ベートーヴェンの『フィデーリオ』を、うっかり見たわけです。いやあ、楽聖ベートーヴェンが作曲した唯一のオペラ、クソつまんねー(笑)。やっぱ、ベートーヴェンはシンフォニーに限るよな(涙)。

 で、なんか色々とむしゃくしゃした私は、翌日仕事に行って、あれこれ調整して、平日に休みを取って、リベンジを決行したわけです。

 と言うわけで、平日に映画を見に行く事にしました。ちょっとやっている事がダメ人間っぽくて、うしろめたい気持ちもありますが「有給は労働者の正当な権利だ!」と心の中で何度も唱えて出かけたわけです。

 今度はちゃんとバスに乗りましたよ。チケットも事前にネットで購入しました。上演30分前に映画館に着きましたよ。チケット売り場で「ええ〜、もうチケット、売り切れなんですかー!」とビックリしているオバちゃんたちのグループに、ちょっぴり同情しながら、劇場の中に入りました。

 売り切れだけあって、空席無し。歌舞伎、すげー。メトのライブビューイングなら、どんなに混んでいても、空席はありますし、それ以外の普通の映画だって、滅多なことじゃあ、売り切れ&満席にはならないものです。それなのに空席無し。当然、私の隣にも人が座ります。シネマ歌舞伎、なめたらアカンぜよ。

 まあ、左隣りは妻だから良し。問題は右隣の赤の他人のオジイサン。すっごく体温が高い。まるでヒーターのように発熱しているんです。この人、なんでこんなに発熱しているの? 劇場内は強めの冷房が入っていて寒いくらいなのに、私、カラダの右半分だけ、汗が止まりませんでした。

 でも、満席なんだから、文句は言いません。シネマ歌舞伎見れるだけでラッキーです。

 肝心の「春興鏡獅子」ですが…十八世中村勘三郎の最後の「春興鏡獅子」とあって、悪いはずがありません。胡蝶の精を踊った、片岡千之助と中村玉太郎の二人の子役もなかなか良かったです。とにかく、途中、衣装替え(と化粧替え)のために、子役の二人の演舞を挟んで、約1時間、勘三郎が踊りまくるだけの「春興鏡獅子」。いやあ、すごかった。ネットで予告編を見つけたので貼っておきます。これこれ、私が見たのは、これなんですよ。

 

 「京鹿子娘二人道成寺」「春興鏡獅子」と、シネマ歌舞伎は連続して舞踊ものも見たので、次はもう少しストーリーのあるお芝居モノを見たいなあって思ってます。でも、その前に、そろそろメトのライブビューイングのアンコール上演が始まるんだよね。そっちはそっちで、楽しみ楽しみ。

 

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posted by stone at 03:30| Comment(0) | 歌舞伎

2015年06月10日

シネマ歌舞伎で『京鹿子娘二人道成寺』を見てきた

 Y&F先生のコンサート終了後、その足で、隣町の映画館に出向いて、シネマ歌舞伎で『京鹿子娘二人道成寺(きょうかのこむすめににんどうじょうじ)』を見てきました。

 シネマ歌舞伎と言うのは、オペラのライブビューイングのようなもので、歌舞伎座などの劇場での演技を映画として収録したものを、それを映画館で見ると言うものです。あるいは、週末の夜にNHKで放送される歌舞伎の舞台中継を映画館で見るというイメージの方が、より近いかも。とにかく、映画館で歌舞伎を見るというわけです。

 ライブビューイングとは違って、月替りで(割と定期的に)上演しています。上映期間は原則的に一週間(これはオペラと同じ)。ただし、映画館によって、一日に2〜3回上演するので、オペラと違って、割と見やすいです。あと入場料も、今回の『京鹿子娘二人道成寺』は1000円と、えらく安かったけれど、その他の演目は、たいていは2100円です。一般映画(1800円)よりは割高だけれど、メトのライブビューイングの3600円と比べると安い安い。

 私は以前から、シネマ歌舞伎に興味はあったものの、近所で上映しているわけでもなく(オペラと違って)わざわざ遠方まで見に行くほどの情熱もなかったので、見に行かなかったのだけれど、今年から隣町の映画館での上映が始まったので、オペラ同様、歌舞伎も見ることにしたわけです。シネマ落語も近所でやってくれれば、見に行くのに…。

 ちなみに、シネマ歌舞伎も、メトのライブビューイングも、配給は同じ松竹ですが、配給の規模と上演回数は全然違います。歌舞伎の方が、上映する映画館が圧倒的に多いですし、一日に上映する回数も多いです。まあ、オペラよりも歌舞伎の方がファンが多いという事ですね(納得)。

 私が見に行ったのは、記事の冒頭にも書きましたとおり『京鹿子娘二人道成寺』です。漢字の羅列が目にきついですが、いわゆる、能で有名な『道成寺』です。お寺の鐘に女性の亡霊が取り付いて、蛇の姿になって大暴れをする…という、アレです。

 ただし、今回私が見たのは、能バージョンとは異なる歌舞伎バージョンだし、その歌舞伎バージョンも、通常版とは異なる『娘二人』バージョンなんです。

 まず同じ『道成寺』であっても、能バージョンと歌舞伎バージョンでは、どう違うのか?

 能バージョンには、きちんとしたストーリーがあって(当然だけれど)起承転結がしっかりしたお芝居なんです。しかし歌舞伎バージョンの場合は、ストーリーがあるんだかないんだか、よく分かりません。と言うのも、歌舞伎の場合、とにかく“踊る踊る踊る”わけで、全編ストーリーそっちのけで踊りまくっています。さらに言えば、歌舞伎バージョンでは、ストーリーの途中で、舞台は終わっちゃいます…ってか、ストーリー的に落ちに行く前に終わっちゃうんです。いいのか、それで!

 つまり、能バージョンが芝居なら、歌舞伎バージョンはダンスショーなんです。

 さらに言えば、歌舞伎バージョンでも、通常の『京鹿子娘道成寺』では主人公(つまりプリマ)は一人なんですが、私が見た『京鹿子娘二人道成寺』では“二人”という言葉がはさまっている事から分かるように、主人公を二人の役者が演じます。シネマ歌舞伎では、坂東玉三郎と尾上菊之助の二人の名優が、白拍子花子という一人の役を同時に演じているわけです。

 主人公は一人なのに二人で演じる…ちょっと分かりませんよね。

 実は、基本的に主人公の花子を演じているのは、尾上菊之助なんですね。だから、踊っていないシーンでは、花子は一人しかいません。それがダンスシーンになると、どこからともなく、もう一人の花子が現れてきて、ペアダンスを踊るんですよ。つまり、芝居のパートでは一人で演じ、ダンスのパートは二人で踊る…という事になっています。

 二人でペアダンスを踊る…これがなかなかすごいんですね。寸分違わぬシンクロされた動作で踊ってみたり、シンメトリーになって踊ってみたり、全く違ったダンスをしたり…。本来は一人で踊る道成寺ですが、二人で踊る事で、ダンスの幅がウンと広がって、見応えが増すってわけです。

 また、ダンスがすごい。歌舞伎のダンスですし、女形のダンスですから、いわゆる日本舞踊なんです。だから、アクロバチックな動きなどはありませんが、とにかく、踊る踊る踊る。結構な運動量なんですよ。

 また、めまぐるしく衣装を替えます。この衣装が、実にダンスに不向きな振り袖(笑)。それも実に美しい(けれど、たぶん重い)衣装なので、目が幸せになります。

 なんだろうね、この興奮は。とにかく、頭を空っぽにして、ダンスを楽しむ歌舞伎、それが『京鹿子娘二人道成寺』ってわけです。そういう意味では、歌舞伎素人の私にも、十分楽しめました。

 蛇足…と言うわけではないけれど、邦楽のオーケストラと言うか、歌舞伎で音楽を担当している方々の演奏も、なかな見応え聴き応えありました。楽器編成など、細かい事はよく分からないけれど、見た感じでは、歌手と、三味線と、笛と、太鼓と…あと何があったかな? 歌はソロもあれば、合唱もありました。ほぼ全員、男性高音歌手(!)。まあ、発声法が違うのでテノールという言い方はできませんが、実に興味深かったです。

 ちなみに、DVDでも販売されています。

 

 シネマ歌舞伎、面白かったので、また、見に行こうと思ってます。次は何を見ようかな? とにかく私は、オペラと違って、歌舞伎はあんまり詳しくないので、基本的な演目から見ていこうと思ってます。

 そうそう、シネマ歌舞伎を見て思った感想を最後に書きます。

 シネマ歌舞伎、さすがに選ばれた演目だけあって、歌舞伎そのものは、すごいんですが、単純にそれだけですね。映画館での上映ですから、音響もバッチリだし、画面も大きくて迫力はあるけれど、これではちょっとねえ…と思いました。

 なぜ、解説を加えないのかな? って思いました。これじゃあ、映画にする意味、ないよね。

 例えば、白拍子の主人公が一生懸命に踊っているけれど、そのダンスの種類とか意味とかストーリの中での役割とか、字幕でいいから解説があると良かったのになあ…って思いました。はっきり言って、見てるだけじゃ、よく分からないです。分からないと楽しくないよね。

 それに役者がセリフを言っている場面に、字幕を入れた方が良いよね。あのセリフ回しを、聞くだけで分かる人しか相手にしていない限り、歌舞伎ファンは絶対に増えないよ。

 今年の正月に息子くんを連れて歌舞伎を見に行ったけれど、彼の感想は「何を言っているのか分からないから、歌舞伎はつまらない」だもの。今回のシネマ歌舞伎だって、誘ったけれど断られたもの。今どきの若者には、歌舞伎の言葉なんて、外国語のようなものだからね。テレビから時代劇も消えてしまった21世紀だよ。耳で聞いただけじゃあ(歌舞伎で使っている)江戸言葉なんて、言葉として認識できないわけだ。だから、字幕は必要だと思う。役者が言ったセリフそのままか、あるいはいっそ、現代語訳を表示しても良いかも(マジです)。

 息子くんはオペラは字幕が出るから好きだけれど、歌舞伎は字幕が無いからダメって言ってますよ。こういう無名の高校生の素直な感想を、関係者の方々は肝に命じた方が良いと思うわけです。

 とにかく、見ているだけじゃあ、私でも、分かりづらかったです。私は事前にwikiを見て予備知識を入れておきましたが、そうでなくても楽しめるようにするのが、エンタメって奴でしょ? 歌舞伎座に行けば、音声解説があるんだから、ああいった情報を必要に応じて、画面にインサートするだけで、歌舞伎に慣れていない人々も楽しめるようになると思うんだけれど…シネマ歌舞伎、ちょっとお高くとまっているようで、もったいないです。

 それと、わざわざ映画館に足を運んでいるのだから、そこに映画館ならではの“付加価値”って奴が欲しかったね。メトだと、舞台を終えたばかりの歌手のインタビューとか入るでしょ。別に歌舞伎にライブ感はいらないけれど、見どころ解説みたいなモノがあるとよかったのにね。これじゃあ、NHKのテレビ放送(舞台中継)の方が楽しいよ。あと、スタッフのインタビューとかもあるといいよね…あれ、結構面白いんだよ。

 私はメトのライブビューイングを見慣れているせいか、シネマ歌舞伎のフォーマットが残念で残念で仕方ないです。せっかくコンテンツが良いのに、その提示方法がイマイチなんだよなあって思うわけです。料理に例えれば、食材はいいのに、料理人の腕がイマイチって感じかな。もう一工夫するだけで、だいぶ違うと思いました。

 頑張れ、シネマ歌舞伎。

 

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posted by stone at 03:30| Comment(0) | 歌舞伎

2015年01月20日

新春浅草歌舞伎に行ってきました

 先日…と言っても、まだまだお正月気分が抜けなかった頃の話ですが『新春浅草歌舞伎』を見に、浅草の公会堂に行ってきました。

 夜の部だったので、演目は『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)[五段目&六段目]』『猩々(しょうじょう)』『俄獅子(にわかじし)』の三本立てでした。主な出演者は、尾上松也さん、坂東巳之助さん、中村米吉さん、中村児太郎さん、中村隼人さん、中村種之助さん、中村歌昇さんでした。

 この『新春浅草歌舞伎』というのは、若手メンバーだけで上演するものなんです。若者たちによる一生懸命な舞台はいいですね。お一人を除いて、皆さん、平成生まれだそうですから、ほんと、青年たちが一生懸命に頑張っていたわけです。

 もっとも、平成生まれの若者揃いとは言え、彼らは皆、梨園の御曹司たちですから、ほぼ“年齢=芸歴”なわけですか、皆さんどなたも芸歴20年超えなんですよ。そう考えると、色々とすごいなあって思うわけですよ。私が彼らぐらいの年齢の時は、やっと学校を卒業したばかりの、社会人的には単なる“ペーペー”だった事を考えると、いやはや、頭が下がります。

 『仮名手本忠臣蔵[五段目&六段目]』とは、忠臣蔵の一部ですが、いわゆる私たちがよく知っている“忠臣蔵”のお話ではありません。いわゆる“おかると勘平”の物語です。詳しくは、ネットでググってみてください。

 今回、座席はあまり良くなく、2階席だったのですが、芝居を見るには、特に不自由はありませんでした。ただ、舞台から遠いせいか、観劇の緊張感も薄くて、休養たっぷりで臨んだはずなのに、時折意識が消失してしまったのは、失敗です。

 しかし、これだけ遠くから舞台を見ていると、女形が全く自然に見えるから不思議です。平土間の、比較的舞台から近い席で歌舞伎を見ると、女形がどうしても不自然と言うか、男が女を演じている事を意識してしまう私なのですが、2階席という、遠くの席から見ていると、女形の役者が、女性に感じられるのだから不思議です。骨格だって、声だって、男丸出しなんだけれど、それらが距離があると気にならず、誇張された女らしい動作がよく伝わり、なかなかに艶っぽい女性に見えるんだから不思議です。

 歌舞伎は、あまり舞台近くで見るものではないのかもしれません。考えてみれば、昔の舞台小屋なんて、薄暗かったわけで、舞台がよく見えなくて当然という環境で生まれた女形という役者なんだから、遠くの客席からよく見えないくらいの距離で見る方が良いのかもしれません。

 それと、遠方からだと舞台の全景が見えるのも面白いかもしれません。

 歌舞伎って、実にリアルからは離れた、夢々しい芝居なんだなって思いました。歌舞伎では、演じている人(と言うか、セリフを言っていたり踊っていたりする人)以外は、皆、止まっているんですね。舞台の近くとか、テレビ中継やDVDだと、演じている人しか見えないから、他の人が何をやっているかなんて気にしませんが、舞台の全景を見ていると、演じていない人は、演じている人の芝居を邪魔しないように、皆さん、石のように固まって止まっているんですね。なかなか、面白いです。

 で、演じている人の動作も、実に全然リアルではなく、動きそのものは、かなりの誇張があるし、いちいち見得を切る(決めポーズを取る、あるいは、ストップモーションを入れる)わけだし、なんか芝居と言うよりも、アニメでも見ているような気分になります。

 実際、歌舞伎の成立を考えるならば、人形浄瑠璃(人形劇の一種)を人間が演じるようになったのが歌舞伎という説(異説も、もちろんありますよ)もあるくらいですから、役者の動きがどこか非人間的(それゆえにアニメを連想させるわけだけれど)なのも納得です。

 とにかく、役者の動き一つ取っても、型とか様式美というものをヒシヒシと感じますね。若い時は、そのファンタジーっぽいところが苦手でしたが、年を取ってくると、そういう型や様式美ってヤツに心惹かれるようになってくるのだから、年を取るのは楽しいのです。

 それにしても、今回は『仮名手本忠臣蔵』の中間部だけを見たわけだけれど、ぜひ通し狂言(ストーリーを最初から最後まで連続して見せる事)で見てみたくなりました。でも、それはなかなか難しいですね。歌舞伎って、なかなか通し狂言の上演をしてくれませんからね。

 それと、今回は見ていて「歌舞伎ってオペラに似ているなあ…」とも思いました。もちろん、違いもありますよ。一番の違いは、女形の有無。次は、オペラでは役者は歌手であって歌いますが、歌舞伎では役者はダンサーなので踊るという違いです。

 ですから、オペラでは役者は踊りません。踊りは、専門のバレエダンサーが行います。歌舞伎では役者は歌いません。歌は、専門の太夫(歌手の事です)が担当します。でも、大きな違いはそれくらいで、音楽で劇が進行する点や、芝居が歌とダンスで成り立っている点や、恋愛モノ、それも悲恋モノがレパートリーの中心である点。大衆に愛されて現代まで生き残っている伝統演芸ある点などが共通しています。

 それに発生した時代もほぼ一緒なんだよ。大きなユーラシア大陸の西の端で生まれたのがオペラで、東の果て生まれたのが歌舞伎なんだと思います。

 『猩々』と『俄獅子』はダンスでした。『猩々』は、種之助さんと隼人さんの二人で踊るデュエット・ダンスだったのですが、これがまあ、実に見事なものです。バレエが飛んだり跳ねたりするダンスなら、歌舞伎のダンス(日本舞踊ですね)は、なめらかな動きと見得を切るダンスなんだなって思いました。飛んだり跳ねたりするのも大変ですが、なめらかに動くのも大変だなあって思いましたよ。あんな動き、私には到底出来ないもの。さらに見得ですが、これもまた不思議なポージングで止まるものですね。まるで“ジョジョ立ち”みたい…と言うか、ジョジョ立ちって、一種の見得なんでしょうね。それを言い出すと、魔法少女や変身ヒーローたちの(変身とか必殺技とかの)バンクシーンも、ありゃあ、見得だね。『俄獅子』の方は、その他の方々総出の、実に派手派手で賑々しい、いかにもお正月っぽい群舞でした。しかし、女形って下駄はいたまま踊るんだね。すごいなあ。

 この歌舞伎、実は妻がチョイスした観劇であって、私はさほど乗り気では無かったのですが、いやいや、見て驚いた。実に楽しかったですよ。

蛇足 しかし、息子くんには難しかったらしくて、アイツは最初から最後までつまらなそうにしてました。実際、感想を聞くと、やっぱり「つまらなかった。何を言っているのか、ちっとも分からないだよ」だそうです。そう言えば、彼が物心ついた時には、すでに時代劇ってジャンルは死滅した後で、彼には江戸言葉やそれに類するような言葉に親しみがないんですね。彼には外人並にイヤホンガイドが必要だったのかもしれません。

 

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posted by stone at 03:30| Comment(2) | 歌舞伎

2013年09月26日

歌舞伎を見てきたよ

 ある意味、音楽とか関係ない事だけれど、書きたいので書きます(笑)。

 実は、メトのライブビューイングのアンコールで『トリスタンとイゾルデ』を見た同じ日に、九月大歌舞伎を見てきました。

 場所は、新橋演舞場。メトのアンコールは東劇でやってるので、隣と言ってもいいくらいの、すぐご近所だったので、移動がとても楽でした。『トリスタンとイゾルデ』の終演後、1時間で歌舞伎が開演だったので、ほんと、時間的にはベストな感じでした。

 で、何を見たのかと言うと、松本幸四郎主演の『不知火検校』です。これが結構面白かったです。ストーリー的には…この物語は、勝新太郎主演で映画にもなっていますので、そっちを見るとよく分かると思います。

 簡単に言うと、生まれつきの盲人である主人公が、実は根っからの悪人であって、悪の限りを尽くして出世していく、アンチヒーロー物語だったりします。もっとも、お芝居の最後はハッピーエンドではなく、バッドエンドで終了し、主人公はきちんと身を滅ぼすわけですけれどね。

 歌舞伎を見る前に、事前に映画を見て、ストーリーを頭に入れていった私ですが、映画と歌舞伎は同じ物語を扱っているとは言え、そのメディア特性の違いから、色々と違っている(特にエンディングのシーンは全然違う)のだけれど、それはそれで、どちらも面白かったです。

 とにかく、私は松本幸四郎を見たかったんですよ。元気なうちに、その舞台姿を見たかったんですね。よかったよ、ほんと、よかったです。これで歌舞伎の幸四郎は見たので、次は、チャンスがあれば、ミュージカルの幸四郎を見たいです。

 それにしても、歌舞伎を見るのは久しぶり。その上、いつも歌舞伎座で見ていたので、新橋演舞場で歌舞伎を見るのは始めてだったので、とても新鮮でした。

 今回は前から五列目の席をゲットできたので、結構、芝居に入り込んで見ることができて、うれしかったです。いつもは後ろの席とか三階の席とか、とにかく舞台から遠くの席しか買えなかったのですが、今回は実にラッキーでした。やはり舞台から離れた席だと、セリフもロクに聞こえないし、所作動作も豆粒のようにしか見えないし、そんなこんなで気が散ってしまって、座席が遠いと歌舞伎を全く楽しめないんだよね。やはり、私の場合、芝居は前の方で見ないとダメだなって思いました。

 とにかく、幸四郎は素晴らしかったです。かっこよかったです。演技そのものについては言うまでもなく、もうすでに立派な老人のはずですが、背筋もピンとしているし、声も実に若々しくて、素晴らしいです。

 そうそう、歌舞伎の芝居って、リアルではないけれど、様式に則った芝居だから、これはこれで、結構楽しめちゃうんだよね。いわゆる、ストレートプレイと言われる普通の芝居よりも、約束事が分かると、定型な部分が多いので、余計に楽しめるような気がします。

 幸四郎はよかったし、橋之助はよかったし、左團次もよかったし、子役の玉太郎もよかった。でも、女形は…ちょっと厳しかったです。

 いや、厳しいと言っても、ダメって意味じゃないし、芝居や演技に難癖つけているのではなく、女形の存在感って奴が、私にとって厳しかったって事なんです。つまり、私にとっては、女形って奴は『男性の俳優が女性の役を演じている』のではなく『何やら得たいのしれないモノが舞台にいる』って感じで、せっかくお芝居に入り込んでいても、女形の役者さんがセリフを言ったり、シナを作ったりすると、すーーと気持ちが芝居から離れちゃうんだね。

 とは言え、テレビや映画などの映像で女形を見ている分は、全然平気なんだけれど、演劇として、直に女形を見ちゃうと、何と言うか女形って「これじゃない」感がするんですよ。で、気持ち悪くなっちゃうんです。

 ちなみに言っておくと、私、オカマさんには心が広いし、オカマタレントやオカマ役もOKですし、映画や演劇でもオカマさんに違和感はないです。いや、リアルな生活でも、オカマやオナベさんとは和気あいあいと仲良くやれる人間です。私って、そういう性倒錯的な人(失礼)でもOKな人なんです。また、これが歌舞伎でなく、普通の演劇で男性が女性役をやっているのなんかは、笑いながら楽しんじゃったりできるので“男が女を演じている”という部分に違和感を感じているわけではないんです。あくまでも、感じるのは違和感であって、歌舞伎の女形をリアルに見た時に、背中がゾゾゾ〜ってするんです。

 たぶん『女形という様式』に違和感を感じるんですね、私。それじゃあ、歌舞伎を楽しめないじゃん、ダメじゃん>私。

 いやあ、ほんと、ダメな客ですよ、私は。テレビや映画ならOKなんですが、リアルに見る女形は違和感バリバリでした。女形の発するオーラがダメなんですね。

 ちなみに、宝塚の男役は、ある意味、歌舞伎の女形の裏返しだと思うのですが、男役だとファンタジーとして受け入れられる私なんです。男役はOKなのに、女形はアウトってのも、我ながら納得いかないです。納得いかなくても、そう感じてしまうのだから、これは仕方ないのです。

 女形は「違和感バリバリ」ですが、男役は「奇妙な生き物を見ているような」感じがします。

 今までは、たとえ舞台を見ていたとしても、遠い席から見ていたので、女形を見ても、さほど違和感を感じなかったのかもしれません。そういう意味では、テレビや映画で見る女形と扱いが同じだったのかもしれません。今回はなまじ、舞台に近い席だったので、色々と見たり感じたりしてしまって、女形に違和感と言うか、拒否反応が出たんだと思います。

 しっかし女形って…いびつな存在だよね。でも、そのいびつさが文化であり芸術なんだと言われれば、まさにその通りなんだよね。実に納得した私でした。

 

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posted by stone at 03:30| Comment(6) | 歌舞伎